あづみ野コンサートホール

咲き乱れる道端のコスモス、刈取りを終えた田んぼ ― 秋を感じる久しぶりの安曇野です。

「おかえり~!」
と館長さんご夫妻がお声をかけてくださり、あづみ野コンサートホールの扉をくぐりました。
2002年3月22日に初めてお伺いして以来、今回で13回目の出演です。
最初にお伺いしたときのエピソードが館長さんによって紹介されました。
強風で電車が小淵沢で止まってしまい、待てども待てども再開の気配なし。結局、車で迎えに来ていただき、ホールに到着したのは、開場時刻とほぼ同時。
お客様と一緒の入館となりました。
その日のプログラムが「テンペスト(嵐)」だったからかもしれない
と、今だから笑い話ですが、そんなアクシデントで始まった10年のおつきあいです。

会館10周年企画、と銘打たれた今回のコンサート。
あづみ野コンサートの設計にかかわられた建築家の方たちはじめ、このホールの発展に寄与されたファンの方たちが続々とホールに集い、満員御礼。
「プレイエルで聞くショパンと同時代人たち」
ということで、ショパン、シューマン、リスト、メンデルスゾーンを演奏させていただきました。
さまざまな曲を弾くと、あらためてこの楽器が誰の曲に合うか、が指と耳と体で実感します。
ショパンが愛した楽器、プレイエルは、リストは決して弾かなかったそうですが、シューマンの同音反復が多い曲にも不向きです。
リハーサルでプレイエルの最初の1音を弾いた瞬間、プレイエルが最もよく良さを発揮できる理想的な広さ、音響を感じることができました。
フォルテも無理をしなくていい、そしてピアニッシモはどんなこまかなニュアンスも一番後ろの席に届くという自信のもとに演奏できるのは、なんと
快適なことでしょう!
歴史的楽器の演奏と会場の蜜な関係について、想いを強くしたコンサートでした。

101013-1

10周年の記念の年にプレイエルの音色とともに、ひとときをともにしてくださったお客様、そしてお世話になりました長谷川館長さんご夫妻、今回のプレイエルを運搬、調律してくださった名取さんに感謝です。
ありがとうございました。

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