阿部真也さんと仲間たち

仙川アベニューホールで行われた室内楽コンサートにお伺いしました。
阿部さんを中心に集まった弦の名手たち。
それぞれのメンバーがのびのびと奏で、それぞれの楽器の特性を生かして、一つの音楽として方向性やイメージをつくっていく ― 室内楽のそういう楽しさがステージいっぱいに広がるコンサートでした。

バッハのゴールドベルク変奏曲で始まり、シェーンベルクの「浄夜」、そして後半は、ブラームスの弦楽六重奏曲第1番、というプログラム。
出演は、ヴァイオリン:瀬崎明日香さん、加藤美菜子さん、ヴィオラ:阿部真也さん、小倉萌子さん、チェロ:朝吹元さん、染谷春菜さん、加藤皓平さん。
個性も奏法もそれぞれ違うメンバーの弓から、いきいきとした対話が生まれていきます。
会場の雰囲気も演奏者を心から応援するオーラにあふれていて、メンバーもそれに応え、音楽への情熱で結ばれている輪を感じました。
特にシェーンベルクは、愛のない結婚をした女性に芽生えた復讐の気持ちが、やがて愛情へと変化していく、そのドラマと変化の過程が音で表現されます。
不安な低い音程から不協和や拮抗を表すハーモニー、そして調和と浄化の世界への変容を感じることができました。物語と音の関係が浮かび上がり、そこに変化をとげていく女性の姿が浮かび上がりました。

今日は、弦楽器のみの室内楽なので、舞台上のファツィオリは、舞台の上でカバーをかけられた状態で鎮座したまま。
来年2月にこのカバーをとってモーツァルトのピアノ・ソナタ KV545を弾かせていただくことになっています。
どのような響きを奏でてくてるのか、楽しみです。

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