自筆譜に見る個性

クロード・ドビュッシーは、今年生誕150年ということで、美術展や催しも開かれています。ブリヂストン美術館 では、「ドビュッシー 、音楽と美術 ー印象派と象徴派のあいだで」が10月14日まで開かれています。7月14日のオープニングには残念ながら行けなかったのですが、会期中に是非行きたいと思っています。
以前、ヴァイオリニストのプーレさんとパーティでお会いしたとき、「ドビュッシーの手紙」の話題になりました。プーレさんによれば、ドビュッシーはとてもちっちゃな細かい字を書く人だったそうです。
自筆譜や書簡などを見るのがとても楽しみです。

先日、研究会でバロックヴァイオリンの懸田さんが自筆譜について
「筆模様は、心を表す」
とおっしゃっていましたが、共感を覚えました。
パソコン全盛の現代では、書き手の筆模様は残されることはなかなかありませんが、それらが残されていると、几帳面な筆跡、丁寧な字、流麗な筆さばき、個性あふれる字体、自由闊達な筆運びなど、それぞれ息遣いが伝わってきます。
自筆譜のありようは、音楽にも通じるようなところがあり、大バッハは美術品のような自筆譜、ベートーヴェンは力強い自筆譜を遺しています。
9月11日に、シェーンベルクの「6つの小さなピアノ曲 作品19」を弾くこともあり、今、シェーンベルクの自筆譜を見ていますが、書き込みには実に興味深いものがあります。十二音技法を確立したシェーンベルクの自筆譜は、さすがに綿密な筆跡です。
まるで設計図のような細かな書き込みで、指使いを書き込んだり、息をつがせる「V」の記号を書いたり、赤鉛筆でこまかにディナーミクを書いていたり・・・。
眺めていると、まるでシェーンベルクのレッスンを受けているような気持ちになってきました。

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