ピアニッシモ

CD録音2日め。
これまでのレンジより一段上をいったピアニッシモに挑戦。
耳、指、神経を鍵盤に集中し、風が吹くくらいの弱音!
今日の私にとっての最大収穫です。

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現代のピアノの鍵盤の深さは約10ミリ。
PPを出すときは、底まで押さず、
ハンマーが弦に当たるギリギリのところをねらって、7ミリくらいのところまで押してタッチするわけですが、
フォルテピアノの場合は、鍵盤の深さはその半分。
つまり3ミリちょっと指を動かして弱音を出します。
「ふるえる」くらいの動きですから、うまくいくときもあれば音が抜けてしまうこともあるのです。

安全策ですべての音を「きちんと」鳴るようなタッチで弾くと全体がつまらなくなってしまいますから、崖っぷちギリギリの線を狙うのですが、やっているうちにどうしても崖から平らな安全な場所に入ってしまいそうになるのです。
それをギリギリの淵に追いやる。ある意味、苦しい作業ですが、うまく嵌ったときの快感と達成感は、何ものにも代え難いものがありました。

素早いハンマーの動きは、気持ちをそのまま伝えてくれますし、敏捷なタッチは、軽やかな表現にピッタリです。
この音色、このタッチ、この繊細さ、この軽やかさ、この敏捷性、これらの美点を持ったまま、現代の楽器のような優秀な性能と安定性を備えてくれたら、どんなに演奏者にとって嬉しく完璧な相棒となることでしょう。

お世話になりました小島さん、コータローさん、
そして調律の名取さん、長い一日、ありがとうございました。m(_ _)m

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