国立音楽大学・試験問題

国立音楽大学で「演奏論A」の講座を担当していますが、毎年の筆記試験問題は、私の ウェブサイト で公開しています。
今年も、英文の問題を入れることにしていますが、先日の講義の時に、
「講義で英語を取り上げないのに、どうして試験問題に英語の問題を出題するのですか?」
と疑問を呈した人がいたので、私の意図を書いておきたいと思います。

まず、私たちが学んでいる音楽の多くは、ヨーロッパで生まれた音楽です。本当は、それぞれの作曲家の母国語に習熟するのが理想的ですが、作曲家の国籍もさまざまですし、ドイツ語、フランス語、イタリア語などを全員がひととおりマスターすることは現実的ではありません。現在のヨーロッパ共通の言語とも言える、英語の文章を、ある程度読めるようになることは、ヨーロッパの音楽を学ぶ上で是非とも必要だと思います。
また、モーツァルトをはじめとするヨーロッパ音楽の演奏、研究は、世界最大の大国アメリカでも盛んに行われています。さらにこれから、中国、インドなどアジアでも、私たちが「クラシック音楽」と呼ぶ音楽は今以上に演奏され、研究されていくようになるでしょう。
世界共通語ともいうべき英語をある程度自由に操れるようになることは、音楽を学ぶ上で大切です。
また、これまでの卒業生の進路を見ますと、皆さんの中には音楽以外の分野に就職する人もいることでしょう。最近、企業の中には、社内では英語しか使われないようなところも出てきています。どのような分野で生きて行くにせよ、できれば、英語に近づいておきたいものです。

そのようなひとつのきっかけになれば幸いです。

今年の試験問題では、Alfred Brendel  “On Music”  の中の論文を使用します。
久元祐子ウェブサイト の左下の、 学内試験問題 をクリックすると読むことができます。

なお、これまでの試験問題は、以下をご覧ください。

2011年演奏論A試験問題
2010年演奏論A試験問題
2009年演奏論A試験問題
2008年演奏論A試験問題
 

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