ピアノ教育論

どんなピアニストもピアノが突発的に弾けた、ということはなく、幼少期から先生についたり、音楽学校で学んだり、という経験があることがほとんどです。どんな先生につくか、どんな教育を受けるかで、音楽家としての技倆も、進歩のありようも、音楽を愛する気持ちも違ってきます。
音楽の喜びを子供や若い世代に伝えていく指導者の役割は重要です。
そういうピアノ教育のあり方を、次世代をになう若者とともに論じるのが、「ピアノ教育論」の授業です。
今年のメンバーは20人あまり。
ピアノ教育に関心を持ち、それぞれ熱心に課題に取り組んで、意見交換も活発に行ってくれています。

卒業と同時にピアノを教えることになる彼らの一挙手一投足は、すぐにピアノを学ぶ子供たちに影響を与え、ときには、その子供の人生そのものにかかわることにもなります。彼らもそれを知っていて、学生である今のうちに、自分の中での理想や方法論を学び取ろうという姿勢でいてくれるのは、頼もしい限りです。
バイエル、ツェルニー、というお定まりのコースの時代は終わり、今は、数限りない教材があふれている時代となりました。
情報交換も進み、各国の教材や教育システムについてもすぐにネットで入手できる時代です。
けれどそれら多くの情報の洪水の中にあって、自分なりの方法を決めていく上での迷いや困難もまた生まれてきます。
ひとりひとりの個性にあった最良の選択をする目、理知的なバランス感覚、そして何より、音楽への愛情と子供への愛情・・・・
それぞれのありようで、素晴らしい音楽の指導者に育っていってほしい・・・と願いながら、講義を進めます。

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