サン・サーンス:ピアノ・トリオの夕べ

花岡千春先生のフランス鍵盤音楽の系譜 V
今夜は、サン・サーンスのピアノ・トリオ 第1番と第2番。

副学長という重責を担い、スーパーマンのようなお忙しさで飛び回っておられるのに、精力的な活動と意義深い演奏会や録音を次々になさるエネルギーと才能に脱帽です。

今日は、演奏会に先立ち、音楽学の友利修先生のプレトークが15分行われました。
演題は、「サン・サーンスとその時代」。

フランス女性を奥様に持ち、フランス暮らしの長い友利先生は、日本語のお話のときもサラサラ・・・という感じで速めに流れるような口調です。
国立の音楽研究室で毎週水曜日にランチタイムにお会いするのですが、「サン・サーンスは長生きですから1年あたりを20秒でお話しなくちゃなりませんね!」
なんて冗談を申し上げたりしていたのですが、
「サン・サーンスは天秤座、自分は星占いを信じないけれどバランス感覚の良さは、天秤座のせいかも?」
「カミーユ・サン・サーンスのカミーユは、男女共通のファーストネーム。今日の千春さんもそうですが・・・」など
会場を笑いの渦に巻き込む楽しいお話に始まり、
少年時代からの性格形成に与えた環境についてのお話や形式と細部へのこだわりなど、彼の音楽の特徴について、広い視点からの凝縮されたお話で、サン・サーンスについて期待がふくらんだところで演奏が始まりました。

フランス語の響きのようなお洒落な和声、柔らかく、しなやかなタッチから生まれる決して割れることのない美しい音色に酔わせていただきました。

跳躍の連続、超人的な和音の連打など、サン・サーンスの演奏家としてのテクニカルな凄さも彷彿とさせる曲でしたが、特に驚いたのは、20代に書かれた1番と57歳の円熟期に書かれた2番の大きな違いです。
長い一生の間の経験の豊かさと円熟が一目瞭然でした。

モーツァルト的早熟な天才肌のピアニストであり、しかもハイドンのような大器晩成型の作曲家でもあったサン・サーンスについて再認識することができました。

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