「こそレン」?

今年度最後のレッスン日。
久しぶりに大学に行き
管楽器の学生と一緒にランチ。
カレー(小)とナスの揚げ煮、小松菜のおひたし、というメニュー。

国立音大の教授陣は、珠玉の演奏家が揃っています。
私が尊敬するある演奏家も国立音大の先生です。
その方のことに話題が及んだとき、
「あの先生、こそレンよくしてるよね」と、一言。
「こそレンって何?」
と尋ねると
一人でこそこそ練習することを、”こそレン”というのだそうです。

ピアノは、ひとりで曲を作っていくことがほとんどですから、毎日がそれこそ「こそレン」の連続ですが、みんなでアンサンブル練習をする機会が多い管や弦の学生にとっては、ひとりでやる地味な練習は、また別モノなのかもしれません。

こそこそ練習する、というと人聞きが悪いイメージですが、人知れず自分の腕を磨き、本番に備える、少しでも時間がとれたときに寸暇を惜しんで練習する ― この姿勢こそが名手の条件とも言えましょう。
先日、元パリーグの会長さんにお目にかからせていただいたとき、
「いい選手というのは、必ず、人の見てないところでものすごく練習している」
ということをお聞きしました。
スポーツ選手と演奏家、一見違う分野のように見えるのですが、実は、動きは違っても同種の職業なのかもしれません。
練習のあとを見せないためには、かなりの練習をしないといけない、という言葉もまた真実。
「ケイコとマナブ」という雑誌が以前ありましたが、稽古の跡と勉強の跡は、見えないに越したことはないのです。
遊ぶように、あるいは、沸き起こるように弾くことが理想です。

当たり前と言えば当たり前ですが、美音と自由闊達な演奏の陰に「こそレン」があった、ということに不思議な感慨を覚えながら、
「よし!私もこそレン!」
と思い五食(5号館食堂)をあとにしました。

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