「即レコ」初体験

中野坂上の ベーゼンドルファーショールーム で、「即レコ」を体験させていただきました。
ベーゼンドルファーの温かな音色を録音するのに最適なマイクの位置を、スタッフのみなさんと一緒に、探していく実験です。

マイクの位置をちょっと動かすだけで、驚くほど違う音になることは、過去のCDレコーディングなどでも経験済みです。
クリアさとふくよかさの両方を求めて、どの位置が最高なのかを探すための楽しい2時間でした。

i pad をワンタッチするだけで「録音」が始まり、ワンタッチで自分の弾いた音をその場でスピーカーから聴けるという便利さ!
さらに、ユーザー登録番号を入力するだけで、家でもその音をコンピュータで聴くことができるというすぐれもの!

便利な時代になったものです。

ウィーンのイエルク・デームス先生は、レッスンのとき、盛んに録音を勧め、あとで復習するように、とおっしゃっていました。ご自分も録音がお好きで、ご自宅でも録音をされ、CDに残されています。
同じウィーンの先生でも、梯さんの師匠でいらっしゃる女性教授は、録音が大嫌いで、レッスンでの録音は厳禁ということでした。

今回、録音してみて、音源から近いところで録ると、やはり、虫眼鏡的、近視眼的な演奏に聴こえ、空間の響きがいかに大切かということをあらためて感じました。

勉強やレッスンの録音の場合、お風呂で歌っていい気持ちになるのと違い、自分をはっきりと見つめ、欠点を知り、こまかなところまで詰めていかなくてはなりませんから、ふわっとフォーカスをかけるような録音では意味がありません。
かと言って、アクションの打弦音がはっきりと認識され、欠点ばかりが目立ってしまうような録音では、自信喪失になってしまいます。
そのあたりのバランスに気を付けながら、ベストポジションを選ぶことが求められます。

このスタジオを使われるピアニスト、レスナー、愛好家の皆様が、快適で、しかも便利に「即レコ」を使ってくださるよう願っているところです。

録音終了後、久しぶりに、ショールームのベーゼンドルファーたちに再会。
今回、新しいモデルも仲間入りしていました。
32台製作されたベートーヴェン・モデルのベーゼンドルファーを早速試弾。蓋の裏に、14番のソナタ「月光」の自筆譜が金色で写されています。運よく?!「14番」のピアノが日本に来たそうで、ソナタの番号と製作番号が一致しています。
ヨーロッパではそういうことを気にしない人が多いそうですが、日本のどなたのお宅に14番がお嫁入りするのか、ちょっと気になるところです。

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