ハイドンが愛したピアノ

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「ピアノの本」の連載スタートしました。「作曲家が愛したピアノたち」第1回は、ハイドンです。
ハイドンは、モーツァルトに比べ地味な存在で、人生も「ドラマ」になりにくく、映画や小説の題材になることはまずありません。けれど、音楽史の教科書の中では、モーツァルトよりはるかに多くのページが割かれていますし、古典派の父ハイドンの功績は、計り知れないものがあると言えましょう。
ウィーンで指揮を学ばれた伴哲朗さんが、「ウィーンではモーツァルトを振る前に必ず、ハイドンを徹底的に勉強させられる」とおっしゃっておられました。ハイドンを通過せずにモーツァルトに行きつくことはないのだそうです。
ピアノ作品としてハイドンを見るのは、また別の意味でも興味深い点があります。それは、モーツァルトより先に生まれ、モーツァルトの死後も活躍をし続けたハイドンは、鍵盤楽器の歴史をそのまま体現したような人生で、使った楽器が、曲にダイレクトに影響を与えているのです。
初期のソナタは、チェンバロやクラヴィコードのために書き、その後、チェンバロでもピアノフォルテでもOKのソナタを作り、円熟期はウィーン式アクションのピアノフォルテのために作曲し、晩年はモーツァルトも知りえなかったイギリスの力強いフォルテピアノのために書いています。
楽器の歴史が、音楽に直結!ハイドンの面白さを楽器からアプローチしてみました。
「ピアノの本」233号。全国楽器店などでご覧くださいませ。

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