錦まつりコンサート

毎年3月に立川市錦学習館で開催される「錦まつりコンサート」は、もう30年近く続いている長寿コンサートです。
礒山雅先生のお話で進行する演奏会。たとえ馴染みのない曲であっても名解説のおかげで毎回お客様が心から楽しんでくださる様子が伝わり、錦の地にしっかりと定着していることを感じます。
この数年、000ってすばらしい!シリーズでピアノを弾かせていただいてきました。
ソプラノの澤畑恵美さん、メゾソプラノの岩森美里さん、テノールの鈴木准さん、バスの小笠原美敬さん、
4声一巡したところで、今年は、「メゾソプラノってすばらしい!Part2 」ということで、井坂惠さんが出演。
プログラムは、私のショパン「別れのワルツ」で開始。「別れ」で始まり?!?!という感じもするのですが、卒業式など3月は別れの季節でもあるということで選曲しました。
モーツァルト「フィガロの結婚」のケルビーノがぴったりの井坂さん。女性が男性になって歌う「ズボン役」のケルビーノ。名歌手であっても、「本当はやりたくないのよね。」と本音を仰る方もいらっしゃいますが、井坂さんは、この役を心底楽しみ、ピタッとはまっている感じなのです。伴奏をしていると、本当にピアノのそばに多感期の少年が立っているような気がしてしまうほど。
そして、次にリヒャルト・シュトラウスの「ナクソス島のアリアドネ」から作曲家のアリアです。これまた女性が男性作曲家に扮し、第1幕の最後で歌われる陶酔と熱狂と破滅の大アリア!この曲を聴いたことがないお客様も文句なしに興奮させてしまう強烈な魅力を持った歌です。感覚に直接訴えかける後期ロマン派の官能的な和声の力をあらためて感じました。 
あまりに素敵な男役!休憩時間に思わず記念撮影(笑)をお願いしてしまいました。
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後半は、ガラリと衣装を変えて歌曲を披露してくださった井坂さん。
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ヴォルフの「時は春」、モーツァルトの「すみれ」、シューベルトの「野ばら」、山田耕筰の「野薔薇」、中田喜直の「さくら横ちょう」、高田三郎の「くちなし」、團伊玖磨の「花の街」。
”春”や”花”を歌った曲が次々に登場します。優しく、温かく、しっとりとした歌声に客席から涙をすする音が聞こえてきます。
去年、大切な方をなくされた美しい女性が楽屋を訪ねてくださいました。「今年は、桜の花を一人で見なければならないと思うと、”さくら横ちょう”が胸にしみました。」と仰います。それぞれの歌詞にこめられた想いは、聴く人それぞれの想いに重なり、大きな波紋となっていくように思えました。
井坂さんとは、また10月にもご一緒させていただく予定です。

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