ベーゼンドルファーの調べ@オーストリア大使公邸

オーストリア大使館におきまして、コンサート「ベーゼンドルファーの調べ」に出演させていただきました。

オーストリアの高級眼鏡、シルエット社のアトリエコレクション新作お披露目会に合わせてのコンサート。会場には、美しい工芸品とも言える、宝石をあしらった眼鏡などが展示されていました。ドビュッシー、モーツァルト、ショパン、ブラームス、リストなどを演奏。

シルエットの職人さんも、この会に合わせてオーストリアから来日しておられ、コンサート前に手作業の過程を拝見しました。繊細なクラフトマンシップという面において、ベーゼンドルファーの製作過程と共通する部分も多々あり、興味深かったです。

シルエット社のコレクション、コンセプト動画に使われているのは、モーツァルトのピアノ協奏曲第20番 第2楽章。オーストリアの自然の風景と音楽がマッチする素敵な2分ほどの動画です。

今日は、ピアノ・ソロバージョンに編曲し、この楽章の全体像を聴いていただきました。美しい変ロ長調のテーマで始まる楽章ですが、中間にト短調の嵐の場面が挿入されています(動画では嵐の場面は使われていないのですが)。そこからもとの美しい旋律に戻るところが、クライマックスとも言えましょう。

嵐からもとの平安に戻るとき、モーツァルトの比類のなさが浮かび上がります。作曲技法としては、緊張感を孕んだ細かな音符の音価をだんだん長くしていく、ということなのですが、嵐が過ぎ去った瞬間の幸福感は、最初よりさらに豊かなものになります。息をつかせないほどの緊張感から、ふぅっと長い息になり、充足感が満ちてきます。光と影の対比、緊張と弛緩の波・・・。弾いていても聴いていても、いつも「天才モーツァルト!」と叫びたくなる箇所です。

「弾く」のではなく「語る」「歌う」を大事にするオーストリアの方々と音楽を共有し、楽しいひとときを過ごさせていただきました。

フーベルト・ハイッス駐日オーストリア大使とベーゼンドルファーの前で記念撮影。春爛漫の一日でした。

オーストリア大使館

お世話になりましたオーストリア大使館、シルエット社、ベーゼンドルファー・ジャパンの皆様に感謝申し上げます。

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