ヴァルター搬出

まるまる2ヶ月弾き続けてきたヴァルターを再び録音会場に搬出の日です。
「よろしく。いい音を出してね。」と祈るような気持ちで送り出します。

ハープの方などは、毎回こんな感じでスタートするのかもしれませんが、普通ピアノ弾きは、会場においてあるピアノで演奏するため、楽器を送り出して自分も出発。というのは、いつもと違う感覚です。

モーツァルトの手紙を読むと、貴族の家にあるピアノを借りたり、運び出したり、また返したり・・・・というのが日常的に行われていたようです。
専門の運送屋さんでなければ不可能なほど重い現代のコンサートグランドピアノの重さは500キロ。サラブレッド450キロよりさらに重い計算です。

アマデウスの映画の中に、大人3人でかついでいるシーンがありましたが、当時のピアノフォルテが今よりずっと軽いからこそ出来た話です。

とは言え、エレベーターにおさまるよう、角度を決めたり、厳重に梱包したり・・・というのは、かなり大変な作業です。
腰にも腕にも負担のかかるお仕事で、いつも申し訳ない、と思いつつただ見つめているしかありません。

と言っても素人の私が下手に手出しすれば足手まとい、そこで手でもすりむいたら、演奏にも支障が出てしまいますし、腰を痛めてしまいます。
心を鬼にして「ごめんなさい」と心で言いつつお手伝いせず、すべてお願いしてしまっています。

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