ウィーンの至宝

ベーゼンドルファー・ジャパンにて2回ステージ。ウィーンにちなんだ作品をお話を交えて演奏させて頂きました。ワールド航空主催ということで、ウィーン通、そして旅慣れた皆様がお集まりになられました。

来年のベートーヴェン生誕250年に向け、多くの企画が始動していることを実感しました。今日は、ベーゼンドルファー・ピアノを3台使用。

現代の技術の粋を集めたモデル280VC、100年ほど前に制作されウィーン国立歌劇場で使用されていたピアノ、そして天板裏に金箔でクリムトのアデーレが描かれたクリムトモデル。それぞれに個性と音色が異なり、
客席から「おー、全然違う」などのお声がかかります。ウィーンの至宝である建築、美術をはじめ文化遺産の数々が紹介され、その歴史の中で響いてきたウィーンナートーン。言葉より雄弁に音色が語ってくれるように思えました。

終演後、長野に向けて移動。17:00発の「あずさ」に乗り込み車窓を見た途端ベーゼンドルファーの調律師さんからライン・メッセージが入りました。バドゥラ・スコダ先生の訃報です。
ウィーン三羽烏と称されたフリードリーッヒ・グルダ氏、イェルク・デームス氏、そしてバドゥラ・スコダ氏。スコダ氏はご自宅で静かに最期の時間を過ごしておられたそうです。91歳でした。来日目前のことで関係者の方も肩を落としておられます。

ウィーンの至宝とも言える多くの名録音、名ステージ、そして名著を残して旅立たれました。スコダ氏の歴史的楽器コレクションをイタリアのクレムセック博物館で演奏させていただいたことを思い出しながら
ご冥福をお祈りいたしました。

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