ハイドンとモーツァルト@安曇野

毎年お伺いしております信州・安曇野。新聞記事には、「久元祐子20回目の出演」とありました。そんなに?!と一番驚いている本人です。
今年は秋の実りの季節でのリサイタルとなりました。稲穂が黄金色に光る田園風景を楽しみながらのホール入り。
フルのプログラムにお話を交えるので、時間が長くなってしまうのですが、ベーゼンドルファーの音色にゆったりと耳を傾けてくださるお客様の中で弾かせて頂けることに感謝です。

ハイドンとモーツァルトのソナタ、即興的装飾を交えたり、微かなピアニッシモに挑戦したり、毎回少しずつ距離感が近づいていく実感がありますが、完璧という壁はなかなか超えることができません。
ギリギリのワクワクするような表現はリスクを伴う危険もあり、面白い演奏は安全な演奏にはない危険も孕んでいます。
自然の中で、親しく温かいお客様の懐の中で、毎回自分をさらけ出す演奏をさせて頂いています。

安曇野という魅力ある街、信州旅行に私の演奏会をセットしてくださる方もおられ、遠路はるばる関西、関東、山陰などから足を運んでくださいました。

ハイドンの最後のソナタは、彼の最高傑作の1つ。
「すげー」と最後の音が消えた瞬間、声がかかりました。

地味で面白味が無いと思われることも多いハイドンのソナタ。実はかなり大胆でしかも繊細で、魅力いっぱいの作品です。
その魅力とスピード感に振り落とされない精神力をつけていきたいと思っています。

打ち上げでは、モーツァルトの「ファンタジーニ短調」を練習中の愛好家の女性、シューマンのトロイメライに挑戦中の長谷川館長さんらともピアノ談義で盛り上がりました。

急遽、奥様の手料理が並ぶテーブルからホールのベーゼンドルファーに戻り、その二曲を演奏してお開き。トロイメライに涙してくださる優しい女性に、またの再会をお約束しました。

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