モーツァルト@いずみホール

3年間にわたるモーツァルト~未来へ飛翔する精神~シリーズ。最終年度である今年は、晩年のモーツァルトです。
今夜のレクチャーコンサートは、「超越」。1787~1791年の5年間をとりあげました。「モーツァルトの歳の取り方を考える」と題した礒山先生によるレクチャーの中で、クリストフ・ヴォルフ先生の新説紹介などモーツァルトの晩年にスポットがあてられました。
とかく不遇、貧困、不幸という言葉で語られることの多いモーツァルトの晩年ですが、そういったイメージを覆す新説です。その中でソナタK533の1楽章を演奏させていただきました。宮廷作曲家に任命された当時のモーツァルトの意欲作です。フーガ好きの皇帝へのアプローチが見られ、ヘンデルやバッハへの傾倒とともに、対位法が駆使されています。いわゆるモーツァルトらしい曲ではないので、ほとんど演奏されることはないのですが、今回演奏し、あらためて緻密にできた素晴らしい作品であることを感じました。
美しさと強さを兼ね備えた鈴木准さんの歌。伴奏していてとても楽しいひとときでした。今回は、歌曲3曲、カンタータ1曲全て字幕付きでの演奏!一回のリハーサルで完璧に歌詞を出して下るいずみホールの舞台スタッフの皆さまのハイレベルな技にも驚きました。
リハーサルを重ねたオルガンですが、グラスハーモニカの雰囲気、そして合唱と合奏の雰囲気を再現すべく、礒山先生のアドバイスをいただきながら、当日GPでストップの変更を行いました。オルガン初心者の私は、ついつい響きを厚くし過ぎていたようです。重ねる音を減らし、弱音により、神秘性が際立ちました。
写真は、オルガン・デビュー?!の瞬間です。
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この3年間で、いずみホールのチェンバロ、フォルテピアノ、オルガン、現代ピアノ、すべて弾かせていただいたことになります。幸せな機会を頂戴し、心からの感謝!です。
ベーゼンドルファーで晩年の「ロンド イ短調 K511」。何度弾いても汲みつくせない魅力が湧きあがる名曲です。半音階、下降音型が、晩年のモーツァルトのため息となって、指の先、弦の向こうから聴こえてくるように感じ、静かに温かく包み込む音響に助けてもらいました。
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終演後、いずみホールオープンのときから尽力されておられる建築家の与謝野久さんや井上小太郎さん、そしていずみホールを支えておられる皆様との懇親会。いずみホールの誕生と歴史のお話をお聞きすることができました。
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礒山雅先生、鈴木准さんと。
おでかけくださいました皆様、お世話になりました皆様、ありがとうございました。

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