起雲閣 時を止めた美の中へ。

終演後、起雲閣を見学させていただきNPO法人あたみオアシス21の中島美江様がご案内くださいました。
起雲閣をこよなく愛する中島さんはじめ、オアシス21の皆さんのご尽力で、熱海市指定有形文化財である素晴らしい歴史的建物が守られ、その伝統が受け継がれていることに感動。

1918(大正7)年、鉄道王内田信也氏によって竣工された「内田別邸」。お母様の静養の場として建設されたとのこと。座敷の周りは畳廊下で囲まれており、元祖バリアフリー。お母様への思いやりがこめられたお座敷でした。

1925(大正14)年に、東武鉄道グループ創業者根津嘉一郎氏に売却され、敷地拡大。温泉発掘とともに「根津温泉」と命名。1932(昭和7)年には洋館も完成しています。
チューダー様式の客間「玉渓」。

暖炉の上の石彫レリーフは熱海市によって復元され、当時の面影を忍ばせていました。

「金剛・ローマ風浴室」は見事なステンドグラスの窓、テラコッタ製のカラン。

温泉は下から湧き出る仕組みで木製のタイルが敷かれ、肌触りの良さや滑り止め効果まで。。。至れり尽くせりの浴室です。

1947(昭和22)年。桜井平五郎氏が「根津熱海別邸」を購入し、旅館「起雲閣」を開業。金沢出身の桜井氏により、群青色や紫の壁に塗り替えられたそうです。
美しい床の間の前で中島さんと。。。

太宰治が山崎富江と2泊した2階のお部屋などドキドキしながら回らせていただきました。
三島由紀夫の新婚旅行もこの起雲閣。

多くの文豪が訪れ、『人間失格』などが生まれています。当時、驚異のスリーショットを撮影された写真館の今井利久氏。シャッターを切る手が震えたそうです。

NPO法人あたみオアシス21の皆様が大切に守ってこられた文化財。お花を活けて見学者の皆さんをお招きする優しい心が、愛される《起雲閣》の原動力となっていると感じました。

今日は終演後、駆け足で回った起雲閣でしたが、またゆったりと往時を忍んで再訪したい起雲閣。。。
皆様にも、熱海にいらっしゃる折には、是非、お足を運んでいただきたい名所です。

コメント