茅ヶ崎にて

茅ヶ崎Berceauにて「ベーゼンドルファーとベートーヴェンシリーズ」第1弾を演奏させていただきました。

前日夜中に、この7月オープンしたばかりのホテル、東横INN茅ヶ崎市役所にチェックイン。折しも花火大会が終わったばかり、とのことで駅界隈まで大賑わいでした。

翌朝10時半、会場に到着。調律の村田勝美さんがすでにベーゼンドルファーを整えてくださっていました。
楽器のフレームに故イエルク・デームス先生のサインが!!
数年前の公演の際、先生が演奏されたピアノ。。。先生の多彩な音色とタッチが心に蘇りました。

会場は、ヨーロッパのサロンの雰囲気。
ベートーヴェンのソナタ4曲を演奏させていただく中で、まさにBerceau(揺りかご)のようにウィーンナートーンが包んでくれました。
オーナーの小杉道子先生のベーゼンドルファーへの想いが伝わる美しい空間でした。

サイン会では、「目をつぶって聴いていると男の人が弾いているのかと思った」と嬉しいような複雑な?!感想もいただきましたが、ベーゼンドルファーの豊かさを目指してさらに精進したいと思った次第です。

大胆に、ストレートに心情を語るベートーヴェンの音楽は、弾き手にとって大きな手ごたえを感じる魅力ですが、同時に緻密な設計に基づいた構築性と、限りないロマンティシズム、そしてユーモアなど、人間の持つ様々な面が音に体現されています。

若い頃には見えなかったものが楽譜から見えてきたり、疑問が氷解したり、うまくいかなかった表現がはまってきたり、という瞬間は喜びですが、大きなエネルギー無しには太刀打ちできない音楽でもあり、宇宙規模のベクトルに振り回されることもしばしば。ベートーヴェンの音楽からパワーを受け取りながら「演奏」という形で再生していきたいと思っています。

せっかくなので海を見て帰ろうと、サザンビーチに寄って夜の海を眺めた瞬間、突然ド~ンと大きな花火が次々にあがりました。昨日の花火大会の名残の花火だったのでしょうか?

駐車場の女性のお話では、昨日は35000円の桟敷席もすべて完売だったとか。「ここの花火を見たら他所の花火は見れないわよ」と自信満々。ラッキーな茅ヶ崎の夜でした。

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