びわ湖ホールプロデュースオペラ『死の都』を鑑賞。
栗山昌良先生が日本初の舞台上演を演出されたのが2014年。2023年栗山先生は他界されたのですが、岩田達宗氏によって栗山先生の演出が忠実に再演された今回の舞台です。岩田さんは、神戸市出身。91年から栗山先生に師事された方とプロフィールにありました。
妻マリーを失い、その想い出の中に生きていたパウルが、その妻に瓜二つの踊り子マリエッタに出会うストーリー。愛、喪失、絶望、狂乱、官能、夢、、、感情のうねりが次々と繰り広げられる圧倒的なオペラです。3幕の間、ほぼ歌いっぱなしの主役陣。清水徹太郎さんの透明で強靭な声、森谷真理さんの艶やかなエネルギーは、圧巻!
難曲を見事に歌いきった黒田祐貴さん演じるフランク(パウルの親友)に拍手!そして今回、八木寿子さん演じる家政婦ブリギッタの存在感に感動しました。最後に無音になったところで、蝋燭を持って静かに舞台の奥に歩く姿。
悲しみから希望へ、幻想から現実へ。。。
マエストロ伴哲朗氏のタクトは、歌手の息遣いにピタッと寄り添いながら、京都市交響楽団全体を纏め上げていかれるプロフェッショナルの技でした。オペラとドイツ語を知り抜いたマエストロだからこそできる今回の成功。
オーケストラのメンバーの中には、初演の時に演奏されたプレイヤーの方もおられたそうですが、再々演の日を待ち望むファンも多い事でしょう。
びわ湖ホールの舞台は大スペクタクルを一瞬にして切り替えることができる魔法の舞台。え?いつの間に?と心まで持っていかれる感じでした。
ロビーで黒田博先生とバッタリお会いしました。黒田先生は、2014年の初演の時にフランクを歌われ、今回ご子息の祐貴さんが同じ役で出演。「なんで俺じゃないの?」と思われた(笑)そうですが、次々にハードルを越え進化するご子息の活躍に、お父さんの顔になって目を細めておられました。
10年前の初演時の黒田博先生(右)、10年後に同役を歌われたご子息、祐貴さん(左)。10年隔てた感慨無量の親子写真、黒田先生からお借りしました。
私がコルンゴルトを初めて弾いたのは、歌曲の伴奏でした。安田久美恵さんのリサイタルでマーラー、ヴォルフ、R.シュトラウス、プフィッツナー、ロットなどとともに取り上げられたコルンゴルトの《夏》。なんて素敵な世界!と痺れ、コルンゴルト自身が演奏している録音を聞きあまりの素晴らしさに仰天。指が30本ついているのか?というような豊かでファンタスティックな演奏です。今回の舞台の興奮が冷めないうちに、コルンゴルトのピアノ曲にも挑戦したい、と思いながら美しいびわ湖ホールをあとにしました。
コメント