アペルト弦楽四重奏団

昨日は、福井から東京へ向かう新幹線の中で、締め切りの原稿を書いたり、今度の演奏会で弾くコンチェルトの自筆譜ファクシミリとじっくり向き合ったり・・・と車窓の景色とともに、移動時間を楽しむことができました。
電車の中は、狭い机、ガッタンゴットンという雑音など悪条件なのに、何故か能率と集中力があがるのが不思議です。

東京駅に着き、軽く食事をすませ、JTアートホールへ。
アペルト弦楽四重奏団は、芸大の楽友が構成メンバー。
それぞれオーケストラで活躍する弦楽器奏者4人です。

ヴァイオリンは、広島響のコンサートマスターの田野倉雅秋さんと東フィルのフォアシュピーラー近藤薫さん。ヴィオラ、チェロはそれぞれN響の坂口弦太郎さんと西山健一さん。
ヴィオラの坂口弦太郎さんとは、先日、トリオで演奏させていただいたばかりですが、今日は、客席からの応援です。
若き貴公子4人組が颯爽と舞台に登場すると、客席にも「待ってました!」という雰囲気が漂います。

今日は、ハイドン72番、プロコフィエフ1番、メンデルスゾーン2番という時代も個性もまったく違う3人の曲を並べたプログラム。
それぞれの時代の音を感じることができた一晩でした。
弦楽四重奏は、作曲家にとって、もっとも「音楽」の中身が出るジャンルかもしれません。その時代の美学、使われる音、作曲家の個性の差異が如実に出るように思えるのです。
真摯にそれぞれの音楽に向き合う4人が、若さとエネルギーと友情によって築き上げていく時間は尊く美しい。
これから、さらに年輪と経験を積みながら、アンサンブルを磨いていかれることを期待したいと思います。

会場では、坂口さんのお母様にお目にかかることができました。「楽しいクラシックの会」以来の再会でした。
美しい鈴の音のようなお声で、パッと明るいオーラを発するお母様。
おなかにいるときからそんな美声を聞きながら育った弦太郎さん。
その美音の源に触れさせていただいたような気がしました。

コメント

  1. 坂口千栄 より:

    尊敬します久元祐子先生、アペルトの演奏会にお忙しい中お出かけ下さり、このように身に余る素晴らしいお言葉で励ましていただき大変嬉しく感激しています。
    彼らの演奏は先生のお耳にはまだまだの感が多くあることと思いますが、どうぞこれからも忌憚のないご意見を賜り目指すべき方向をご指導いただきますように・・・またいつかお目にかかれることを願っていましたが、こんなに早く再会できましたこと、また拙い私のHPにもお出かけくださり、温かいコメントをいただきましたことも合わせて深く感謝申し上げます。