聖母マリアの夕べの祈り

第26回 くにたち兼松講堂 音楽の森コンサートが、一橋大学兼松講堂で開催され、第26回の今日は、モンテヴェルディの「聖母マリアの夕べの祈り」が演奏されました。
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「夕べの祈り」は、夕刻の典礼のこと。ヴェネツィアでは祝日に豪華な営みとして行われていたそうです。典礼文は、5つの詩編、マニフィカートなどから成っていますが、モンテヴェルディは、そこにグレゴリオ聖歌の旋律も用いながら、バロックの語法を開花させています。聖母マリアへの祈りが、400年前にこのような美しい作品として完成されていたことに驚愕します。
渡邊順生先生の指揮&チェンバロ、鈴木美登里さん(ソプラノ)、櫻田亮さん(テノール)、そして先日、共演させていただいたばかりのジョン・エルヴィスさん(テノール)、モンテヴェルディ・アンサンブルのメンバーの皆さんの出演。
17世紀初めのイタリアの絢爛たる輝きが兼松講堂に響き渡りました。夏に立ち寄ったヴェネツィアのサン・マルコ教会の大伽藍が眼前に蘇り、17世紀と現代、イタリアと日本が時を超え、国境を越えリンクしたようなひとときでした。
モテット「私は黒い」は、何度かチェンバロで伴奏したことがある曲ですが、「お立ち、私の恋人、こちらへおいで」の歌詞が、恍惚とした和声の上に謳われます。指が覚えているその和声とともに、官能的な旋律に酔いしれました。
「三位一体」が声によって体現されるモテット「二人の天使が」の美しさに感動。音符を超え、音楽が立体的に立ち上り、天から降りてくるような感覚にとらわえました。
ザ・バロックバンドの演奏するピリオド楽器について、礒山雅先生と演奏家の対談形式で解説が行われ、ピリオド楽器が一歩も二歩も身近になったような時間でした。モンテヴェルディ・ワールド実現に向け、尽力された如水コンサート企画ボランティアチームの皆さんにも拍手!の一日でした。

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