ベーゼンドルファーとプレイエルの響き

「セレモアコンサートホール武蔵野」でサロン・コンサート。
前回は、モーツァルトゆかりの楽器ヴァルターを弾きましたが、今回は、ベーゼンドルファ-、プレイエルの2台のピアノを使っての演奏会。
ウィーン生まれ、パリ生まれという2つの楽器の個性の違いを感じるひとときとなりました。

はじめにベーゼンドルファーで、シューベルト、ベートーヴェン、ブラームス、シューマンなどこの楽器の良さが良くでる名曲を数曲。
そして次に、プレイエルで、ショパンを数曲弾いた後、、最後にベーゼンドルファーに戻り、モーツァルトのソナタを1曲。
アンコールに久しぶりにグリークの「アリエッタ」。

プレイエルは、1843年制作。ショパンがまさに生きていた頃のピアノで、たしかに彼がこのプレイエルで演奏し、レッスンし、作曲したということを実感できる楽器です。
ピアノでは、黒鍵上を左に指をすべらせて白鍵に落とす、というフィンガリングが使われます。そのため、黒鍵から白鍵に指がすべりやすいように、黒鍵の角は丸みを帯びています。
ショパンはこのフィンガリングをよく使いました。このプレイエルを弾いて驚くのは、メロディラインでこのフィンガリングをよく行っていたであろう高音あたりが、下の方より黒鍵の角が丸くなっているのです。
これはもしかしたらショパンやショパンの女弟子たちが、この指遣いで弾いているうちに、波に削られた岩のように、あるいは撫でられているうちにつるつるになる観音様の足のように、丸くなったのかしら・・・・なんて想像するのも楽しいものです。

演奏終了後は、ワインとティータイム。テーブルに並ぶワイングラス、香り豊かな紅茶やお菓子。華やかなちょっと早めの忘年会場に早変わりです。
演奏の合間の休憩時間だと、私は一人静かに過ごし、後半の演奏に備える場合がほとんどですが、演奏終了後なので、私も参加させていただき、旧交を温めたり、初めていらしてくださったお客様とご挨拶できたり、楽しいひとときでした。
お世話になりましたセレモアつくばのスタッフの方に、お礼申し上げます。

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