銀座ヤマハホール・リサイタル

昨日、銀座のヤマハホールでリサイタルを開催させていただきました。
ベーゼンドルファー・インペリアルは、低音にエクストラキーがついた楽器の王者ですが、王者の風格とともに、わがままさを兼ね備えた楽器。
朝9時から午後3時まで、調整、調律を念入りにしてくださる調律師さんに感謝です。

プログラムは、次のとおりとさせていただきました。(プログラム・ノート

ヨハン・ゼバスティアン・バッハ : 平均律クラヴィーア曲集 第2巻 ニ長調 BWV874
ヨハン・クリスティアン・バッハ  :ピアノ・ソナタ ニ長調 作品5の2
モーツァルト :ピアノ・ソナタ ニ長調 KV284 「デュルニッツ」 
(休憩)       
モーツァルト :「アヴェ・ヴェルム・コルプス」KV618(リスト編曲)
リスト :「慰め」から 第1番 ホ長調 第2番 ホ長調 第3番 変二長調
リスト :「二つの伝説」
   第1曲 「小鳥と語るアッシジの聖フランシス」  
        第2曲 「波を渡るパオラの聖フランシス」

前半は、バッハ親子の作品とバッハ・ジュニアから大きな影響を受けたモーツァルトへの流れを、同じニ長調の曲で。
ニ長調という共通の調の作品ですが、弾けば弾くほど3人の個性がいかに違うかを感じました。
大バッハは、私にとって、作曲家という域を超えた世界。
神様に祈るような気持ちで始めさせていただきました。

後半の:「アヴェ・ヴェルム・コルプス」は、モーツァルト最晩年の宗教曲で、モーツァルトを愛する方にとっては、特別の意味を持つ名曲です。
今回は、リスト編曲のピアノ版を演奏させていただきました。
この曲は、煌々とした現代の明かりではなく、照明を落とした中で静かに始めました。
リハーサルのとき、スタッフの方が次の「慰め」への照明転換を2パターン用意してくださいました。
拍手が起きた時は、そこで明かりをつける、拍手がおきないときは、次の曲になって徐々に戻す、という段取りです。
結果は、後者。
「アヴェ・ヴェルム・コルプス」を弾き終えたとき、ホールをしばし静寂が支配しました。
きょうお聴きくださいました皆様が、いかにモーツァルトを、そして、音楽を愛しておられるのかを、あらためて痛感した瞬間でした。

アンコールでは、やはり、リスト編曲のシューマン『献呈』を弾かせていただき、グリークのアリエッタで閉じさせていただきました。
お聴きくださいました皆様、また、お世話になりましたヤマハホールの皆様、本当にありがとうございました。

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