「シューベルティアーデたんば」-貝原俊民さんに捧ぐ。

11月9日、 シューベルティアーデたんばのファイナル・ガラコンサートが丹波の森公苑ホールで行われ、ソロと連弾で出演させていただきました。
2日前から、ドイツのフライブルク音楽大学で教鞭をとるピアニスト、ティルマン・クレーマーさんとシューベルト最晩年のロンド イ長調 D951の合わせに入り、意気投合。
シューベルトにぴったりのベーゼンドルファーで演奏できることも嬉しく、張り切って準備に入りました。

2014-11-07-16-11-32

演奏会では、即興曲 変イ長調 D935-2、変ホ長調 D899-2 を弾かせていただき、後半はティルマン・クレーマーさんとシューベルトのロンドを連弾。
最後の曲の後、出演者は舞台から降り、客席を通ってロビーに出てお客様をお見送りする、というのがシューベルティアーデの習わしだそうで、私もそれにならって客席の中を歩きました。
神戸からも知人、友人が聴きにいらしてくださって、しばらくぶりにお会いすることができました。

通路の左手から、にこやかに手を振りながらお声をかけてくださったのは、前兵庫県知事の貝原俊民さんでした。貝原さんには、遠路、結婚式にご出席いただいて以来、コンサートなどでお聴きいただいたり、お世話になってまいりました。終演後に、ロビーで「即興曲もロンドも美しい!素晴らしかった!」と、力強く握手してくださいました。

その4日後の13日、主人から携帯に電話が入りました。貝原さんが交通事故に遭われ、急逝されたとのこと。
ただただ、しばらくその場に立ち尽くしてしまいました。「次の演奏、楽しみにしてますからね」とおっしゃってくださいましたが、次の演奏を聴いていただくことも、芸術を愛する貝原さんのお話を再びお伺いすることも、永遠に叶わぬこととなりました。握手をしていただいたときの手の温もりを想い起こしながら、心からご冥福をお祈り申し上げます。

コメント