まつもと市民芸術館で清水和音さんと共演

ショパン生誕200年記念コンサート。ショパンの夕べ、
「祖国ポーランドからパリ、マジョルカ島へ~ショパンをめぐる女性たち~」
というタイトルで
第1部は、青島広志先生のトークコンサート、
第2部は、プレイエル vs スタインウェイ。

ショパンの愛器プレイエルの優しい音色,vs
現代の名器スタインウェイでの演奏とトーク、
ということで
優しい音色のほうは、私が担当。
現代の名器のほうは、清水和音さん。

リハーサルをそのままお見せしたほうが、よりおもしろかったかもしれません。

「ねえ。弾かせて弾かせて、興味ある!えー!こんなに小さな音なの?
ベートーヴェンの時代はもっとおんぼろだったんでしょ。
170歳現役ってったって、無理して引っ張ってきてるわけだから現役とは言えないようねぇ」
とコッテンパッテンにやっつけられたプレイエルちゃんは、ちょっとすねた表情で、けれど
「聞いてくれる人が聞いてくれたらいい」
くらいの気持ちで音を鳴らしてくれたのかもしれません。

第1部の青島先生のおしゃべりは、本当に流暢で、息継ぎをほとんどされておられないのではないか、というくらい。
初めてお会いしたブルーアイランド先生が超過密スケジュールを縫って松本入りされ、ご自分のステージのあと清水さんと私を紹介してくださいました。

プレイエルで演奏のあと、清水さんと対談。
清水さんの歯に衣着せぬ発言は、大変おもしろく、
「ショパンの恋人は年上でしょう?ぼくはだめだなぁ。年上は。」
「プレイエルとエラールって違うの?同じかと思ってた。」
と、対談としてはなかなかかみあわないところが、逆に凸凹リズムではずみがつきました。

「そうですね」「ほんとに」式の優等生的対談が成立しなかったのが、今日の対談の醍醐味でした。

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スタインウェイを弾く清水さんのテクニックは安定性と強靭さにおいて、現代のスポーツカーを思わせるものがあり、F1のレーサーのような雰囲気です。スピードとパワーにおいて最高!にプロなのです。

プレイエルのほうは、逆にクラシックカー。押しても出ない音があったり、高速の連打は不可能だったり。
その分、現代のピアノへの進歩の過程でこぼれ落ちていった香りやこまやかな味わいが魅力と言えましょう。

170年の時をへだてた2台のピアノが並んだステージ。
暗い中でスポットライトが当たった2台。
その両方を弾く中で、時の流れ、美学の変遷、音楽に求めるものの変化、など多くのことを感じた1時間でした。

お世話になりました長野朝日放送、まつもと市民芸術館のスタッフの皆様に御礼申し上げます。

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