セレモアコンサート・プレイエルとスタインウェイ

セレモアコンサートホール武蔵野で、1843年製のプレイエルと現代のスタインウェイを聴き比べていただくコンサート。
オール・ショパン、プログラムです。
長野では、スタインウェイを清水和音さんが、プレイエルを私が担当しましたが、今回はひとりで両方を弾きます。
スタインウェイとプレイエルの間に、当時の黄色いガラスで出来たピアノの足台などの骨董品を置き、このオブジェを境に19世紀サロンの世界へようこそ、という演出です。

プレイエルとスタインウェイでは、音の減衰の仕方やスピードがまったく異なり、そのような減衰のありように応じて、表現も変わってきます。
ほとんどの曲は、プレイエルの方がショパンの魂がより息遣いを伴って聞こえてきて、独特の香りが立ち現れるような気がするのですが、いくつかの曲では現代の楽器の方がふさわしいと思ったりもします。
たとえば、「エオリアンハープ」。
宝石のような輝きと風のような演奏効果によって、色合いの変化や流れが生まれるのですが、プレイエルではどうしても、がたついてしまい、この楽器の欠点が目立ってしまうのです。

セレモアにお集まりくださった農協関係の女性のお客様方は、音の違いを率直に感じてくださり、とても気持ちよく演奏させていただきました。
絵描きさんと違い、創造の時間と空間を受け手と共有する演奏の世界。
聴いてくださる方々との一体感も創造の大事な要素です。

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