毎月開かれているモーツァルティアン・フェラインの例会。
それにしても第305回、すごい数字です。
今日は、秋リリース予定のCD「学習するモーツァルト」のプログラムで、レクチャー・コンサートをさせていただきました。
19歳のモーツァルトが受けたクリスティアン・バッハの影響。そして両者の共通項と異なる点を実際の音で感じていただいた2時間でした。
会場は吉祥寺のラ・フォルテ。
晴天に恵まれ、緑もきれいです。
オーナーの大沢先生ご夫妻にお目にかかれることができるのもうれしいことです。
美味しいパスタをゆっくりいただき、会員の皆様とモーツァルトを通じて交流させていただきました。
沢田会長さんのパリ旅行の写真も拝見。モーツァルトが演奏したアデライード王女の音楽サロンの様子も見せていただきました。
ここのところよく弾いているデュルニッツ・ソナタは、第3楽章の第11変奏を、自筆譜の方で演奏させていただきました。
装飾が多く施された初版譜もいいのですが、現代のピアノで弾くときは、音をポーンと響かせて間の美学や響きの豊かさを感じるほうが、香りが出るような気がしたのです。
フェラインのみなさんには好評でした。
でもさすが、モーツァルトを聴き込んでおられる会のメンバーの方からは、レベルの高さを感じる感想がありました。
「私、クリスティアン・バッハの装飾音も現代のピアノで弾くときには、減らしたほうがいいんじゃないかと思うんです。ト長調の第2楽章、ちょっと装飾が多すぎやしませんか?」
たぶん3連符の頭についた装飾音のことをおっしゃっておられるのだとピンときました。
ツンペが制作したスクエア・ピアノを想定して作曲されたと考えられている作品5のソナタ。
鍵盤の深さが違う現代の楽器で彼の装飾を弾くときは、重くならないように気をつけねば、と常々意識しているのですが、長年弾いてきた曲は耳も体も指も感覚もスコアどおりがなじんでいて、自筆譜から音を減らそう、という発想は起きませんでした。
鋭いご指摘をいただいたフェラインの例会でした。
コメント
モーツァルト時代のウィーンの香りを現代に伝える楽器です。他のメーカーに比べ、手作業で作っている部分が圧倒的に多く、人間のぬくもりと木の温かみがある楽器です。エキストラキーが下についているので、慣れない方は、弾きにくいとおっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。
ベーゼンドルファーの創業当時の1829年製の楽器も持っており、実は、当初それで録音する予定でいたのですが、修復、調整の面でまだもう少し時間が必要なので、今回は、ホールに出向き、そこに設置されている現代のピアノで入れることに決めました。
古いベーゼンドルファーは、1829年製であるにもかかわらず、現代のインペリアルの原型のような力強さを持っており、創業者イグナーツ・ベーゼンドルファーの心意気を感じます。
鋭さや切れの良さという面では、スタインウェイに軍配があがるかもしれませんが、
インペリアルは、音色と香りと歌心という面で独特の魅力を持った楽器だと思います。
モデル290は確かエクステンドベースを持つ97鍵のピアノですよね!中低音と高音のバランスが難しいともどっかで読んだ記憶がありますが・・・・調整でご苦労されたようですが、演奏でもこの楽器ならではの工夫もあるのでしょうね!興味が尽きません!!
ありがとうございます!
フォルテとピアノの対比を光と影ととらえ、現代のピアノを使ってこまやかな息遣いと大胆な変化の表現を目指しました。
ベーゼンドルファーは、魅力的な楽器なのですが、使う人が少ないせいで、ホールでベストの状態で保たれていることが少ないのも事実です。
今回も調整には、けっこう時間がかかりました。
10月にリリース予定です。聞いていただけましたらうれしゅうございます。
録音順調ですか?今から先生のCD楽しみです。ハイドンとモーツァルト、青春のモーツァルト週末ずっと聴いてました。インペリアルで素晴らしい演奏聴けるの待っています。
高橋さま、コメントありがとうございます!
高橋様はじめ、モーツァルトをこよなく愛するフェラインの皆様の前でモーツァルトを弾き、モーツァルトの空間を共有させていただく時間は、本当に幸せです。心から感謝しております。
今、長岡に来ています。ベーゼンドルファーのインペリアルでモーツァルトを録音しているところです。ウィーンの香りを現代に伝える名器で、「現代のモーツァルト像」を表現したいと思っています。
久元先生、素晴らしい演奏ありがとうございました。私はフェラインに3月から入会、今回が2回目の例会でした。懇親会での私のつまらない質問に楽譜を見せて頂きながらの説明、ただただ恐縮でした。先輩達のような深い所まではまだまだですが、これからも真摯にモーツアルトを聴いて行きます。先生の更なるご活躍をお祈りしております。