映画「ブラック・スワン」

少女の頃、ボリショイバレーの舞台「ジゼル」を一人で見に行ったことがあります。
前半が終わって席から立てなくなるほど感動した記憶があります。
人間が演じているはずの主人公なのに、人間には見えない「神業」の演技だったのでしょう。
それ以来、そのときのパンフレットを擦り切れるまで眺め、フランス語で書かれたバレーのステップの本を買い込み、挿絵などを見て楽しんだり、バレーの世界に憧れました。

あれからウン十年の月日が流れ、今日は、バレリーナの世界を描いた話題作「ブラック・スワン」を観ました。
「白鳥の湖」を題材に、バレリーナの苦しみと葛藤が描かれています。
真面目で技術的な完成度の高い主人公が、主役抜擢で、天にも昇るような幸運を手に入れたとたん、苦しみも始まります。
白鳥と黒鳥をダブルで踊る演出のため、清らかな優等生的イメージを打破しなくてはならない壁にぶちあたります。自分の殻を破るために、主人公は、もがき苦しみ・・・。
パーフェクトなブラックスワンを演じた白鳥は、やはり「白鳥」に戻って最後を迎えます。
演出家、母、そして自分と対照的なタイプのライバルが登場し、愛憎とりまぜた人間模様が繰り広げられます。
プリンシパルとしての終わりを告げる先輩の悲劇も伏線として描かれます。
プレッシャーから来る妄想、マゾヒスティックな精神状態、緊張と歓喜の振幅。
あり得ない・・・・というような奇想天外な場面設定や妄想と現実の境がよくわからない箇所も多く、劇場にいる人たち皆が「?」という感じになる時間も多いのですが、妙に記憶に残るシーンが多かったのも事実です。

15日までの公開です。

コメント

  1. 卑弥呼 より:

    少女時代にフランス語で書かれたバレエの本を買い込まれるとは。。。さすがは祐子さん。
    「ブラックスワン」はアメリカでも話題ですぐに見ました。目を伏せたくなるシーンもありますが、ダンサーとしての生き方にいろいろ考えさせられる物がありました。
    そして、ナタリーの演技力にただただ脱帽しました。