阿部真也「パレスチナ音楽日記」

abeshinyaヴァイオリニストの阿部真也さんが執筆された「パレスチナ音楽日記」を読みました。
阿部真也さんは、この夏、モーツァルトのケーゲルシュタット・トリオを共演させていただくヴァイオリニストです。

パレスチナで音楽を教えた経験を綴られたのがこの本です。
パレスチナと言えば、長く戦乱が続いている地域。

音楽には無縁の場所だろうと想像していたのですが、音楽学校もあり、音楽家になることを夢見て真剣に音楽を学んでいる子供たちがいることを、阿部さんの本で初めて知りました。

しかし、その現実は厳しいようです。
「16 諦めることを「学ぶ」子どもたち」の一節。

「子どもたちはジュウイッシュにたくさんのものを奪い取られている。例えば、ジュウイッシュの人が100できて認められたとすれば、パレスティアンは1000できなければ認められない。それができなければ、高校にも行かず働いた方がいいのだ。
 僕はここに住みなから思った。ここの子どもたちは、国の状況に悩まされているだげではなく、自分の才能すら見ぬふりをしなげればいけない、希望すら見ぬふりをしなければいけない。それは、彼らの親も同じ。子どもがいくら一生懸命であっても、「この子(私たち)には無理だ」ということを納得しなければならない。この国の現実である。」

多くの絶望の中で、同時に、明るく音楽を楽しんでいる子供たちがいることも、阿部さんは伝えています。

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