白龍館・村井信吾さん追悼コンサート

新宿の白龍館に最初に連れてきてくださったのは、ある音楽愛好家の方でした。
「モーツァルト好きの祐子さんならきっと気に入る店だよ。」

スペイン風の噴水を通って地下に入り、
魔笛の舞台をそのままお店にしたような造り。
中には、白い龍。そしてベーゼンドルファー。
マスターと話しこむうちに
「ウチにあるベーゼンドルファーも見てみて」
ということになり、おうちにお邪魔すると、お店より大きな型のベーゼンドルファーがありました。
「マスター、お店のとこちらのを交換しましょうよ!」
と半分冗談のつもりで申し上げたら、翌週はもう
「そうしたよ!」
と。

コンサートサイズのベーゼンドルファーがお店に来て、コンサートも定期的に行われ、ライブ活動も活発になりました。
山下洋輔さんら、白龍館で演奏されたアーティストの数はかなりのもので新実徳英先生もご常連。
新宿の知る人ぞ知るライブハウスです。

今日は、皆から愛されたマスターが急逝され、そのマスターの温かい人柄を愛するファンが、娘さんの真理子さんの呼びかけで集まりました。
クラシック、ジャズ、カンツォーネ・・・・ジャンルを問わず音楽が奏でられ、マスターの人脈の広さを改めて感じました。

12時に始まり夜9時半までのコンサート。
私は、最終ステージ「マスターと古くから親交の厚かった方々」の中で
モーツァルトを弾かせていただきました。
マスターが「キラキラ星」の楽譜をもっていらして
「久元さん、ここの音、こんなふうに思ったんだよ」
と熱く語ってくださっていた日のことが昨日のように蘇ります。私にとっては、
「モーツァルトの音楽は宇宙に通じるね」
というのが、マスターから聞いた最後の言葉です。

宇宙でもきっと音楽を聴き続けておられるだろうマスターに、心をこめて弾かせていただきました。

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