トゥールー=ロートレック展

三菱1号館美術館で開催中のロートレック展を鑑賞。
美術館所蔵のロートレックのポスターやリトグラフの貴重なコレクションが、今回初めて公開、ということで楽しみにでかけました。
19世紀末のパリ、モンマルトルの雰囲気を彷彿とさせる作品で、ドビュッシーやデュカス、サティといった音楽が聞こえてくるような雰囲気を楽しみました。
キャバレーの売れっ子俳優の横顔やおしゃれな色使いなどが、ぱっと目を惹きつける魅力を放ちます。
色違いのバージョンがいくつか書かれているアヴリルという踊り子を書いたリトグラフは、ロートレックが切り取った彼女の舞踏の炎のような瞬間を見事にとらえています。
試し刷りやスケッチなどは、特に興味深く、作品が出来上がっていくその制作過程を垣間見る気分です。
故郷アルビと家族への愛情、一方で娼婦や踊り子を描くモンマルトルの歓楽街。またジャポニズムの影響など、ロートレックのさまざまな面が浮き彫りにされた展覧会でした。

宝石のように美しい男の子が、度重なる骨折で足の成長が止まるという不幸が訪れます。狩り好きの父は、一緒に連れて行くことを断念。愛情までも離れていき、そののちは、母がロートレックを最後まで支えたとか。
貴族の家柄にとって、「無職」というのが最高の仕事だそうで、ロートレックが亡くなるときの書類に、母は、「画家」ではなく「無職」と書き入れたそうです。
食べるために絵筆を持つ必要などなかった、ということなのでしょうか。
三菱一号館美術館とミディ・ピレネー地方のアルビ市のロートレック美術館は、姉妹館なのだそうです。
その交流により、今回のような充実した展覧会が実ったそうです。
12月25日、クリスマスまで開催中です。

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