エラール1845年

3月28日、東京上野の 国立科学博物館 で行われました「東京・春・音楽祭」のコンサートで、1845年製のエラールを弾きました。
本番の前に、リハーサルを兼ねて、リストのコンソレーションを弾き、撮影しました。
細部を含め、間近にご覧いただきながら聴いていただけましたら幸いです。

このエラールは、1845年、ロンドンで製作されました。
この楽器は、弦をのぞいてすべてが当時のオリジナル。貴重な楽器です。

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写真右上がアクションを手前に取り出したところですが、ちょっと間違うと大惨事?!になりかねない、コツのいる引き出し作業です。
写真左上は、ダンパーを取り出したところです。(左上の鍵盤模様は、調律師協会ピアノエプロンの鍵盤ですのでなんの関係もありません。念のため?!)

通常のピアノは、ダンパーが弦の上にあり、足でダンパーペダルを踏むと、上にダンパーがあがり、弦が開放される・・・という仕組みになっています。
ところが、このエラールは、弦の下にダンパーがあります。鍵盤を離すとダンパーが上がって音を止める構造になっており、ペダルを踏むとダンパーが下がって弦が開放されるのです。
上の youtube をご覧いただくと、動きがよくおわかりいただけると思います。

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左上ですが、通常奥についているスプリングも手前についていて、調整が難しいようです。
右上は、ハンマーです。

ダブルエスケープメントの機能の発明をはじめ、エラールなくして現代のピアノはない、と言っても過言ではない、現代のピアノの出発点とも言えるエラールです。
リストが愛したエラール。
彼は、すでに21世紀に連なるピアノの発展を見越していたのかもしれません。

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