陸前高田「にじのライブラリー」

日本出版クラブの武田さんの呼びかけで陸前高田に「にじのライブラリー」が立ち上げられました。

講談社、小学館、集英社、日本ペンクラブなど、錚々たる出版界のみなさまとともに、陸前高田にお伺いさせていただきました。
テレビで見覚えのある市役所やスーパー、ホテルなどを見させていただきましたが、そこで起こったことを想像することは、あまりにもつらい瞬間です。
小学校の教諭をしておられた女性が案内をしてくださいましたが、
「今回の津波で、森や家があってこれまで見えなかったものが、すべてが壊されて見えるようになってしまった。そして見えるようになったのは、人の心です。おとなしいと思っていた人が実はとても強い人だったことがわかったり、親切だと思った人が利己主義だったり・・・人の性格まであぶりだした出来事だった」
と静かに語っておられました。

教育委員会の山田教育長さんにピアノなど楽器の被害をお聞きしますと、多くのピアノが流されたけれども、そのあと全国から寄贈され、今はまた音楽の授業が再開されている、とのことでした。
「震災で失ったものの大きさとともに、得たものもある。それは全国の人たちの心。我々は、そういう人たちのおかげで生きている。そう思えることの大きさははかりしれない」
とおっしゃっていただきました。

気仙沼で被災され、まったく同じ店舗を気仙沼本郷に”復活”させた千田店長さんにお会いし、エネルギーを頂戴しました。
23万冊の本すべてが流され、耐火金庫もなくなっていた、幸い全員無事だった従業員さんも解雇せざる終えなかった、という絶望の淵から、青空書店、本を手にした子供たちの笑顔、そして今のお店がオープンしたのだそうです。
お店は大変な繁盛で、たくさんの人があふれ、本を求めていました。

被災地がもとの姿に戻る日が一日も早いことを祈りつつ、一関駅から帰路につきました。

コメント