ボローニャのタリアヴィーニ・コレクション

ポルト・ブッフォレで1泊し、9月16日にボローニャへ列車移動。たった一人の車掌さんが、切符の点検だけでなく、新聞や飲み物やスナックを配ったり、高いところに荷物を上げたり、、、という全てのサービスをしてくださることに驚きました。てきぱきとした手際のよさと温かい笑顔が、まさにプロの仕事人という感じです。

ボローニャ到着後、早速 San Colombanoのタリアヴィーニ・コレクションへ。歴史的楽器のコレクションとして、世界有数の博物館の一つです。80歳を超えておられるタリアヴィー教授は、数年前、体調を崩されたそうですが、「復活したら前より元気になった!」とおっしゃり、エネルギッシュに館内をご案内くださいました。名器の数々に触れ、感激のひとときでした。

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上の写真は、1746年クリストーフォリのお弟子さんであるGionvanni Ferrini によってフィレンツェで制作された楽器です。2段鍵盤のハープシコードのように見えるのですが、上の鍵盤を押すとハンマーが弦を打って音を出します。つまり、ハープシコードとピアノが一つの楽器の中におさまっており、まさに鍵盤楽器の変遷を象徴する1台と言えましょう。

また18世紀のスクウェア・ピアノが並ぶ部屋では、それぞれの楽器のエスケープメント機能について、またメカニックや弦の材料などの違いについて細かく説明してくださいました。その膨大な知識は、とても1回聞いて記憶できる量ではないのですが、指に残った鍵盤の感触と音色は、忘れられない貴重な経験となりました。「また近いうちに必ずいらっしゃい」と笑顔で言ってくださったタリアヴィーニ教授。楽器に囲まれ、ミューズの神様に守られ、いつまでもお元気でいらしていただきたいと心から願います。

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博物館内に修復工房も併設されており、たくさんの工具が用途と大きさごとに整理されて並んでいました。今は、世界一古いチェンバロを設計図をもとに復元する作業とホフマンのピアノフォルテ修復が行われていました。

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アメリカからクラヴィコード制作家のご夫妻が見学にいらしていて、「明日帰国する彼らと一緒に、美しい音を味わおう!」というタリアヴィーニ教授の提案で、ミニ・コンサートとなりました。絵画が並ぶ美しい空間の中で、バッハ、ベートーヴェン、シューベルト、ショパンなどを演奏。楽器のもとに集う、国籍も年齢も異なる人の心が音を通じて一つになる瞬間。。。音楽の力、楽器の魅力をあらためて感じた一日でした。

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