ヴァルター・ピアノの響き＠沼津

沼津倶楽部主催の演奏会　「モーツァルトが愛した楽器　ヴァルター・ピアノの響き」に出演させていただきました。ヴァルターを搬入し、沼津千本松原を眺めながらのリハーサル。

到着後、平均律に調律されていたため、普段より、こじんまり平坦な感じになってしまっていたので、コンサート当日朝に、古典調律に変更していただき、ありがたいことに響きを取り戻したヴァルターです。調律のお手間をおかけしてしまいましたが、同じ場所と楽器で、違う調律法の響きの差を感じることができたのは貴重な経験でした。晴れ女のためか、暑いほどの快晴。夕暮れどきまで太陽が沈まず、日光を避けて楽器を動かしながらのリハーサルとなりました。

沼津倶楽部は、もともとミツワ石鹸の創設者、三輪善兵衛氏の邸宅とその庭園が元になっています。日本国憲法の草案が練られたお部屋も残されている貴重な歴史的建物。7月5日にも棋聖戦が行われたばかりです。羽生名人がお座りになられた和室にしばし座らせていただき、庭園を眺め、優雅な時間を過ごしました。
本番前には、会場から歩いて5分ほどの海岸に散歩。沼津は、富士山と海、という日本の歌をそのまま風景にしたような景勝地です。台風に負けずにいつまでも美しい松並木が続いてほしいと思いました。

本日のコンサートは、若山牧水記念館の林理事長先生の妹様の手作り蝋燭による光の中でのコンサート。幽玄な月の明かりと蝋燭の炎の中、ヴァルターが静かに響きます。そのやわらかな響きに耳を傾けてくださったお客様との気の交流。まさにサロンの醍醐味！でした。

打ち上げは、松林の中のフレンチ・レストラン「VERJUS」で。駿河湾の新鮮な海の幸が並びます。数奇屋造りの、凛とした非日常空間で、沼津の夜が更けていきました。