〈フランツ・シューベルト〉の誕生

大学では、様々な分野の先生方にお会いすることができ、刺激を受けたり、わからないことを教えていただいたりしています。
ハード、ソフト両面で知の宝庫である大学という存在にあらためて感謝しているところです。
昨日のランチタイムは、音楽学の堀朋平先生からシューベルトの話をいろいろお聞きしました。
最近、シューベルトに関する著書を出版されたばかり。
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綺麗な黄色の美しい装丁は、シューベルトの儚さ、輝き、純粋さが表れているようで、最初に手に取った時から〈フランツ・シューベルト〉にピッタリ!と思いました。
シューベルトの音楽論をひとつひとつ緻密に展開された力作に感服。調性にこめられた意味の解釈などを読んでいると、堀氏のシューベルトへの並々ならぬ愛情が伝わり、音楽が文字の間から聴こえてきそうです。
この本では、シューベルトの友人についても多くのページが割かれており、それぞれに個性的な人物像が浮かんできます。
ショーバーなどシューベルトの友人たちをこれまで単に「悪友」として片付けてしまっていた自分が恥ずかしい限り。
シューベルトの友人サークルがいかに彼の精神に大きな影響を与えたのか、そして19世紀初頭に生を受けたウィーンの青年たちが、それぞれの人生をいかに生き抜いたのか、あらためて思いを馳せるきっかけになりました。
先日のよみうり大手町ホールでの演奏会でアンコールに弾いたシューベルトの「クーペルヴィーザー・ワルツ」は、友人クーペルヴィーザーの結婚のお祝いにシューベルトが弾いたもの。
子孫が弾き継いできたものを1943年リヒャルト・シュトラウスが聴き、譜面におこして我々に残してくれました。
堀先生は「この曲、本当にシューベルトは変ト長調で弾いたのだろうか。リヒャルト・シュトラウスが好みの調に変えた可能性もある。」と疑問も呈していらっしゃいます。
けれど長年この曲を弾いてきた私としては、なんとしてもこの調であってほしいところです。
他の調で弾いてもみたのですが、なんとも間が抜けた感じになり、しかも弾きにくくなるのです。
「天国のシューベルトさん、変ト長調で弾きましたよね?ね!」と言いながら研究室を後にし、午後の授業に向かいました。

コメント

  1. ほりっぺ より:

    ありがとうございます。いつもは、わりとすぐに研究室を出なくてはならないので辛いのですが
    でも水曜日の男・・・ということで、シューベルトの命日も水曜日だったもようです

  2. yuko より:

    コメントありがとうございます。この本でシューベルトが益々好きになる人、多いでしょうね。水曜日にMr.シューベルトに会える?!と思うとくにおんランチが楽しみです^o^
    今後ともよろしくご指導ください。

  3. ほりっぺ より:

    久元先生、過分なご紹介をいただき恐縮です。お互いに慌ただしい水曜日ですが、13日は時間が合って、ゆっくりお話できてよかったです
    こちらこそ、またいろいろ教えてください!