ベーゼンドルファー・セミナー

ベーゼンドルファー東京ショールームにおきまして、山野楽器主催のセミナー「リストとベーゼンドルファー・ピアノ」に出演させていただきました。ベーゼンドルファーの音色を愛する皆様がお集まりくださり、アットホームな会となりました。

ベーゼンドルファー・セミナー

本日使用のテキストは、昨年出版の「リストとベーゼンドルファー・ピアノ」。「婚礼」、「2つの伝説」、「ため息」、「愛の夢」、「献呈」などを取り上げました。宗教的な作品「婚礼」と「波の上を渡るパウラの聖フランチェスコ」はホ長調、愛の表現「献呈」と「愛の夢」は変イ長調、夢想的な「ため息」と「コンソレーション」は変ニ長調。これは、偶然ではなく、リストのイメージにはっきりとした調感覚があり、イメージと調が結びついていたものと思われます。

ときにはオーケストラをも超える表現力を持つリストの作品。そしてオーケストラを思わせる多彩な音色を持つベーゼンドルファー。作品と楽器のコラボレーションでさらなる表現力が生まれます。タッチやペダリングなどによって生まれる様々な音色についてお話しさせていただきました。

liszt_web

調律の津田克巳さんとの対談では、ピアノの構造、ベーゼンドルファーの特徴など技術的なことなどについても触れ、ウィンナー・トーンの生まれる過程に思いを馳せました。

津田さんと

今日は、インペリアルとリスト・モデルの2台で演奏。97鍵のインペリアルは、「巨大」なピアノですが、決して”けたたましい音”にならないのが不思議です。至近距離で聴いていただいても、フォルテッシモになっても、決してうるさい響きにならないのは、温かで柔らかい音色を持つピアノだからです。

近代ピアノの歴史は、音量とパワーを求める道程でもありました。その中にあって、気品と温かな歌う音色を追求し続けたベーゼンドルファーの矜持をあらためて感じたひとときでした。

20170212

12時半の開始から2時間でセミナーを終了。ところが、最後のお客様がドアを出られたのは5時。ベーゼンドルファーの温かな音色で、まさに居心地のよい「サロン」の空気となり、交流と語らいの場になりました。ご来場くださいました皆様と、またコンサート会場で再会できますことを楽しみにしています。

ベーゼンショールーム

コメント