国立音大 楽器学資料館@オープン・キャンパス

晴天の今日、オープンキャンパスで賑わう国立音大楽器学資料館。
スタジオにて「作曲家が愛したピアノたち」と題し、シャンツ(1820年製)とプレイエル(1848年製)を演奏させていただきました。
先月に続いての演奏会。楽器は、息を吹き込むことで生きてくることを感じます。
ショパン時代のプレイエルで弾く「前奏曲」「夜想曲」「ワルツ」。
2回目、3回目と、演奏会の数を重ねるにつれて、楽器が微細なニュアンスに応えてくれるようになるのが不思議です。
聴こえるか聴こえないかギリギリのような超弱音や、かすってしまう直前の軽快なテンポの冒険など、様々な挑戦を許容してくれるようになるのです。
もちろん、演奏会直前にハンマーが戻らない、とか弱音ペダルでクロス(弱音にするための布)が前に出てこない音がある・・・というような不測の事態が起こったり、歴史的楽器の演奏には、常にリスクがつきものです。
そんなこんなの心配ごとに対して、なるべく神経を尖らせず、楽器と調整技術に対する信頼を胸に、ステージに向かうようにしています。
聴いてくださる皆さんと、歴史を超えて存在し続ける楽器の魂、そして奏者・・・この三位一体の中で立ち上る何かがあるように思えるのです。
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(本日も19世紀サロンの明るさを目指し、蝋燭もどき?!の灯りで演奏。薄暗い中で弾くこと、、、実はとても気に入ってます。)
シャンツの5本ペダルも、慣れてきました。当初は「足が2本なのに5本ペダルは勘弁してほしい」とか、「なぜ一番多く踏むダンパーペダルが右でなく真ん中にあるのだろう。連弾ならいいけれどソロのときには踏みにくい」などとペダルの位置にも数にも愚痴を言いながら踏んでいたのですが、19世紀初頭のウィーンの遊び心に少しずつついていけるように?!なったのかもしれません。
夏を思わせるような蒸し暑さの中、おでかけくださいました皆様、そしてお世話になりました楽器学資料館長はじめ学芸員の皆様に、感謝申し上げます。

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