第9回 日本バッハコンクール全国大会

節分の朝を迎え、大豆を年の数だけ食べて家を出発。早朝の銀座で珈琲を飲み、王子ホールに入りました。第9回日本バッハコンクール全国大会で、審査員としてバッハづくしの一日。多くのバッハ演奏を聴かせていただきました。

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大学・大学院、一般部門に分かれ、予選を勝ち抜いた参加者の皆さんの熱演が続きます。

石井なをみ先生、池川礼子先生、澤谷夏樹先生、平井千絵先生らと審査員室でご一緒させていただき、昼食時間、休憩時間には、音楽の話題に花が咲きました。

いいバッハ演奏は、一日中聴いていても飽きたり、疲れたり、ということがありません。バッハの宇宙の中に身を置いて、生の歓び、救済、祈りの声に耳をすますうちに、不思議と深い呼吸になっていきます。

そんな演奏に出会える瞬間は、審査員としても大きな喜びであり、音楽に向かう真摯な姿勢に敬服の念を抱く時間です。バッハは、個人的感情を露骨に演出したり、気分によって不安定になったり、自己顕示欲を微塵でも出した途端、崩壊の一途をたどる作曲家です。そのバッハに挑戦し、難曲をまとめ上げた参加者のみなさんの勇気を称えたいと思います。

ショパンは、バッハの「平均律クラヴィーア曲集」を片時も手離さず、恋人との逃避行にさえ、持参しています。シューマンも「音楽家になる心得」の中で、バッハの平均律クラヴィーア曲集を日々のパンとするように!と述べています。

教育者でもあったバッハのレッスン室で繰り広げられていたインヴェンション、シンフォニア、舞曲、平均律クラヴィーア曲集、パルティータ、、、。それらは、今でも私たちのレッスン室の中に脈々と生きており、このコンクールの課題曲にもなっています。音楽の道を一歩一歩進む中で、バッハの音楽は私達を常に正しく導いてくれるバイブルと言えましょう。

審査、表彰式、記念撮影を終え、スタッフの方から白いキーホルダーとバッハ・ファイルが審査員にも渡されました。またバッハで会いましょう!を合言葉に解散。

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