ノート・グルーピング入門

「ノート・グルーピング入門」J.M.サーモンド著(アルテスパブリッシング)が第3刷!と

アルテスのニュースレターにありました。先日、神戸との往復の際、新幹線で読了した本です。
扉を見ると神戸市立外国語大学出身の杉江光平先生の訳、とありました。

生き生きした演奏のためには、フレーズ(息)が必要なのは当然ですが、そのフレージングを楽譜からどう読み取るか、どう演奏に繋げるか、をリズムや楽譜の起源に言及しながら、懇切丁寧に論じています。

著者のサーモンド氏は、海軍バンドの首席ホルン奏者などを経験。演奏・指導の現場を通じて生まれた疑問に端を発し、演奏技術の論理的な解明を試みています。

特に、テシス(ダウンビート強拍)、アルシス(アップビート弱拍)について詳細に述べ、小節線を意識し1拍目を強調することを戒めています。

動きがどの音から発し、リズムはどうグルーピングされるのか、を見極める目を持つことが大切。

小節線で音楽を区切る機械的な演奏からの脱却を目指し、小節の頭で音を揃えようとする指導法を徹底的に批判しています。

大きなグルーピングの中で小さなグルーピングを感じる方法論として紹介された曲のひとつが、シューマンの「トロイメライ」。ひとつのグループとしてとらえる音はどれとどれか、フレーズの始まりと終わりはどこか。そして「音楽的」に生気を持った演奏とは。。。

もっとも、すべてアルシスからテシスへ、、、、という呪縛にとらわれ過ぎても、音楽は画一的になってしまうことでしょう。

本に書かれた言葉にこだわり、がんじがらめになることは避けたいところですが、短期間で3刷を迎えたということは、生き生きとした演奏を模索する演奏家、指導者らから多くの支持を得た一冊と言えるでしょう。

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