ベーゼンドルファーと巡るウィーン芸術の世界 ~ウィーンの華~ 世紀末への道

4月27日、国立新美術館にて「ウィーンの華、世紀末への道」と題しコンサートに出演させていただきました。会期中の展覧会「ウィーン・モダン クリムト、シーレ世紀末への道」にちなみ、ウィーンに所縁の曲を演奏。今年は日本・オーストリア外交樹立150周年記念の催しが続き、ベーゼンドルファーを演奏させていただく機会も多い今日この頃です。使用楽器は、クリムト・モデル200「Woman in Gold]。「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像」が描かれた世界25台限定のスペシャルモデルです。

演奏会用のホールと異なり、美術館のロビー。許されているリハーサル時間は15分。しかも開場時刻が定められているコンサートと異なり、リハーサルの時間にはすでにお客様が会場内に100人以上並んでおられ、リハーサルは断念。ぶっつけ本番のチャレンジとなりました。お話用のマイクのコードが椅子にひっかかりそうになったり、アデーレを照らす照明が私をも照らし熱くて汗が出てきたり、反対側のレストランでフォークを落とす音がしたり・・・といろいろイレギュラーなことも起こりましたが、お客様の集中度の高さに助けられ、いつもよりベーゼンドルファーの響きを楽しむことができた不思議な経験でした。

フランツ・ヨーゼフ1世とエリーザベトの肖像画にちなんで二人の列席のもと御前演奏をしたリストの曲。
今回展示中の絵画のひとつ、シェーンベルク:「マーラーの埋葬」に因み、マーラーの葬儀からインスピレーションを得て作曲されたシェーンベルクの曲。
ワイン、女性、音楽を描いた絵画、アメリング:「3つの最も嬉しいもの」に因んで、ヨハン・シュトラウス「酒・女・歌」。
エゴン・シーレが衝撃的な自画像を描いた1911年、その年に作曲されたウィーンの作曲家コルンゴルトの紹介 等々。

絵画と音楽の深いつながりは、紐解けば紐解くほど興味深く、プログラミングの段階で私自身多くの学びがありました。相容れないはずの「空間芸術」と「時間芸術」が一つのイメージとなって像を結ぶような感覚。音符から見えるイメージが立体的になりました。

30人くらいのお客様の前でサロン的に・・・ということで準備していましたが、350人を超えるお客様。椅子に座れないお客様のほうがはるかに多く、立ってお聴きいただくには申し訳ない1時間のコンサート。身じろぎもせず、ベーゼンドルファーの響きに耳を傾けてくださった皆様に心から感謝しています。

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