Balsam(ラトヴィア)

昨年秋、ラトビア・リガでのリサイタルのあと、通訳の美女、イルゼさんが、私の耳元でささやきました。

「祐子さん。。。こんな素敵な晩にぴったりのお酒があります!!とっておきの店に行きましょう。」。。。。

その日、心ときめかせて初めて味わったのが、バルサムでした。

最初は、ん?養命酒?と思った色と味だったのですが、だんだんと癖になってくる不思議なお酒です。

「このお酒を飲むと力が出ます。演奏のあとには、ぴったりよ。」という甘ーい誘惑についついグラスを重ねました。

たしかに疲れがとれて、おまけに風邪気味だったのに、その風邪もどこかへ飛んでしまって翌日は絶好調。最終日、空港のおみやげコーナーでは、一目散にバルサムコーナーに走ったというわけです。

「ラトビアが生んだ自然のリキュール」という謳い文句のこのバルサム。さまざまな薬草も入り、なかなか由緒のあるお酒のようです。

「RIGA BLACK BALSAM」と書かれた茶色い不透明の瓶からグラスに注ぐと魔法使いのおばあさんがつくったような神秘的な香りが漂います。このお酒、結構強いはずなのに、なぜか二日酔いをしません。やはり魔法のせいなのでしょうか?!?!

友達に「バルサム飲みに来ない?」と電話すると、「殺虫剤飲んでどないするん?暑さのせいでおかしくなったん?」

ガチャっと受話器を置かれてしまいましたが、いろいろなお酒を飲み尽くしたあなた!ぜひお試しくださいませ。

去年秋、購入した分は、もうとっくの昔になくなってしまいましたが、来月のリガのコンサートのあとは、ちょっとばかり多めに買ってこようかと思っています。

でも持ち運びには、要注意のお酒です。昨年同行のメンバーのひとり、ダンディなTさん、なんと空港で瓶にヒビが入ってしまったのです。洋服とベンチの周りは、見る見るうちに赤土色に染まっていきます。

「え???どうしたの???血の海!!!」殺気だった警察官がまず飛んできました。匂いをかいで、にやっと笑って「あーはーん。バルサム?オーケー」と嫌疑が晴れたあと、モップとバケツの大部隊の出動と相成りました。

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