山梨県の白州町にある山梨銘醸で酒造り体験をさせていただきました。
まずは、洗米です。普段の生活では、せいぜい4合くらいのお米しかといだことのない私は、170kgのお米を前に一瞬たじろいでしまいました。
30秒間冷たい水の中でとぎ、オケに2杯分の水を掛け、10分間ざるを傾け水を切ります。
この限定吸水と呼ばれる作業は、ストップウォッチを持った杜氏さんの「オー」というかけ声のもと、厳密におこなわれます。お米に水をどのくらい含ませるかが、後々の作業に大きく影響するからです。
今回は純米大吟醸の仕込みなので、お米の中でも芯のごく一部しか使わない、貴重な品物です。
こぼしたら大変、緊張の一瞬!でした。それにしてもお米ってこんなに綺麗なものだったかしら、と見とれるほど。白くつややかに光り輝いているのです。
ただ、水の冷たいことと言ったらはんぱじゃありません。
毎日この作業をする杜氏さんたちの手は、あかぎれで固くなってました。
それから、大きな蒸し器で蒸米。
湯気が出てから待つこと1時間。炊飯器の大親分は、近くに寄れないほど熱く、前が蒸気で見えなくなるほど。どの作業も杜氏さんの長年の勘で決まります。
ほぐしたお米には、麹がまかれます。
「たねきり」と呼ばれるこの作業、頭(かしら)と呼ばれる職人さんの手から受け取る麹を粉にして、お米にふりかけていきます。
薄緑の粉がゆっくりと空中に舞い、お米の粒に落ちていくさまは、神秘的。
美酒が生まれるための祈りをこめた儀式のような静かでぴーんと張りつめた空気が麹室にみなぎります。
一に麹、二にもと(酒母)、三につくり(仕込み)と言われるそうですが、もっとも大事な麹をあずかる頭の、「技術だけではいい酒は出来ない。一番大事なのは、和の心だ。」というこの道50年の言葉には、重みがありました。
タンクに櫂を入れる作業は、見るとやるとじゃ、大違い。櫂は重く、タンクに落ちれば一酸化炭素中毒で即死、という危険を伴う仕事でもあるのです。今回のお酒、熟成を待って4月に純米大吟醸となってお目見えします。今からわくわくしている私です。
コメント