リサイタル@紀尾井ホール

11月12日(木)、紀尾井ホールにてリサイタルを開催させていただきました。

「悲愴」「ワルトシュタイン」をメインにしたベートーヴェン生誕250年記念プログラム。

「悲愴」に先駆け、ベートーヴェンが影響を受けたモーツァルト「幻想曲」KV475と「ソナタ」KV457を演奏。どちらもハ短調のドラマティックな世界です。そして休憩後は、愛らしい「アンダンテ・ファヴォリ」に続いて「ワルトシュタイン」。ベートーヴェンが後援者ワルトシュタイン伯爵に感謝を捧げた作品であり、光とエネルギーと希望と確信、そして自然への敬愛に満ちたソナタです。ハ短調からハ長調へ、という流れの中で、ピアノが力強さを増していきました。

紀尾井ホールは、豊かな残響と温かな木の温もりと気品に満ちた空間。ステージの木目が客席に向けて縦に並んでいるせいか、客席との一体感を感じました。

今回の演奏会は、夏に新型コロナウィルス感染拡大防止のためのホール・ガイドラインが発表され、厳しい感染対策の上での開催となりました。すでに販売が開始されていた「自由席」を「指定席」に変更。座席数を半分以下に減らし、客席は市松模様となりました。

様々な制約の中、久しぶりの演奏会!お客様は、ピンと張り詰めた糸のような集中力と包み込むような優しさで迎えてくださいました。

そして今日は、ウィーンの工房の皆さんが精魂込めて制作してくださったベーゼンドルファーModel 280VCピラミッドマホガニーのお披露目の会でもありました。

典雅なウィーンナートーンと歌心に加え、パワーと敏捷性を備えた名器中の名器です。デュナーミックの幅広さ、抜群の表現力で奏者の想いに応え、最小の力で最大の効果を発揮してくれる心強い相棒であることを実感しました。昨年12月に日本に到着して以来、多くを教えてくれた美しいピアノ、、、これから末長く共に歩んでいきたいと思います。

クレーンを使っての搬出、搬入は、自分が宙吊りになっているような気分でしたが、お天気に恵まれてほっとしています。ミューズの神様、そしてお天道様にも「ありがとう」の1週間でした。

感染拡大が収まらない中、紀尾井ホールまでおでかけくださり、音楽を共有してくださった皆様、そしてこの演奏会実現に向けてご尽力くださった皆様に、心から感謝を申し上げます。ありがとうございました!

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