秋は移動が多く、朝自分が起きた時、「ん?今どこ?」と思うこともしばしば。神戸の「久元きぞうと語る会」の翌朝新幹線で東京へ。銀座YAMAHAサロンで録音の仕事を終え、夕方東京駅から茅野へ。
酷暑も過ぎ、紅葉シーズン開始。今年の紅葉はいまひとつ、という声も耳にしますが、秋空の美しさは感動的です。風の音、空の色、水のきらめき、、、神様の造った芸術に感謝です。
デームス先生の音楽論がドイツ語で出版され、その本を手にデームス先生の愛弟子でもあった指揮者、伊藤翔さんとデームス先生の想い出話に花が咲きました。
デームス先生と連弾した時、こってんぱってんにしごかれた話やら、歌詞をつけた興味深いピアノ・ソロ作品のことなど。。。
サロンでは、そんな話も交えながら、翔さんとモーツァルトやベートーヴェンの協奏曲(2台ピアノ版)を演奏。そして今回、試みとしてモーツァルトの連弾曲を2台のピアノで弾いてみました。
連弾は1台のピアノで並んで弾くために書かれた曲なので、お互いの距離が近く合わせやすい反面、指が重なる箇所は、どちらかが早めに手を上げて短めに弾いたりしなければなりません。
ところが2台に分かれることでその不便は一気に解消。しかも2つのピアノの響板が響くゴージャスな「連弾」になりました。
普段からコンチェルトや2台ピアノでご一緒する機会が多い翔さんとのアンサンブルは、距離的な遠さを感じることは一切なく、「連弾」の新しい楽しみ方の発見になりました。
翌日、奥蓼科のサロンコンサートでお聞きくださったことのある女性に数年ぶりに道で偶然お会いしました。ご主人が数年前に亡くなられ、膨大なご本を少しずつ整理している最中とか。
知的でお優しいご主人の笑顔が思い出され、胸がつまりました。そして、奥様が一言。
「あの時まじかで音楽を聴いたひとときが、この蓼科での一番素晴らしい想い出。いや、人生で一番のいい想い出だった。」と仰って旅立たれたと。
演奏家として、こんなにありがたいお言葉はありません。
音は一瞬にして宙に消えていきますが、音楽は心に残る。
出会いに感謝しながら、自然とともに、心に残るような音楽を奏でていきたいと思っています。
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