アコーディオンの魅力

国立音大大学院で担当させていただいている「テーマ別演習~鍵盤楽器の変遷と楽曲の関連~」。
楽器学資料館所蔵のイタリアン、フレミッシュ、フレンチ、ジャーマン、それぞれ異なる音色のチェンバロを用いてバロック作品を演奏し、ウィーン式フォルテピアノの復元楽器などを用いて古典、ロマン派の作品の演習に取り組んできました。

学生それぞれの専門を生かして、歴史的楽器でのアンサンブル(フルート、声楽、鍵盤楽器)などにも挑戦できるのは、クラス授業ならではの利点です。前期にゲスト講師としてお招きした通奏低音の杉本周介先生は、アンサンブル奏者としてのチェンバロ演奏の愉しみを学生に伝えてくださいました。

またツィンバロンの崎村潤子先生やバリ・ガムランの増野亜子先生の回は、初めての楽器に触れる喜びを体験。知らなかったことを知る楽しさを学生とともに共有。

そして今日のゲスト講師は、アコーディオンの松原智美先生。アコーディオンの調律・調整、修理をされるプロフェッショナル(日本に3人くらいしかおられないとのこと)であるご主人の加藤拓也さんと共に楽器学資料館スタジオご登場くださり、アコーディオンの歴史、楽器の分解、構造の理解、楽曲の視聴、試奏体験など4部構成で密度の濃い授業を展開してくださいました。

アコーディオンの音は色々な場面でよく耳にしますが、楽器の構造や歴史などは、ほとんど未知の世界。息を吐いたり吸ったりして音がでるハーモニカの原理に似てはいますが、アコーディオンの蛇腹から送られる空気によって音程が決まるまでの仕組みには鍵盤式、ボタン式があり、そのボタンの並び方も国によって様々な種類があるそうです。

すべてのピアノの鍵盤は、ドの上はレで、レの上はミ、、、と左から右へ横並びに低い音→高い音に移行していきます。それ以外のピアノはピアノじゃない。この世界共通の認識と基準があるというのは、ピアノ弾きにとってはありがたい限り。でもそれは決して当たり前の事ではなかった。。。とボタン式のアコーディオンを前に目から鱗の思いがしました。実際にお持ちくださった様々な楽器と共に、懇切丁寧な解説で視野を広げてくださった松原先生と加藤さんに感謝です。

コメント