立川立飛歌舞伎特別公演

立飛グループ創立100周年記念事業が続きます。お相撲、ミュージカル、ホセ・カレラス公演・・・・そして歌舞伎。通常、昼夜2回公演ということが多い歌舞伎ですが、今回は1日1回の舞台(11月21日~24日)に集中。
はじめに市川中車さんの口上。そして歌舞伎デビューのお客様にもわかりやすい解説を中村壱太郎さん、中村歌之助さんが担当。
立飛100周年のお祝いということで、お二人が立飛の可愛いキャラクター、たっぴ君、たっぴちゃんと手をつなぎ一緒に踊りながら花道を退場、というサービス付き!
先週は、「お練り」があり、伊勢丹デパートでは「衣裳展示」があり、期待ふくらむ舞台となりました。

最初の演目は河竹黙阿弥作、木ノ下裕一氏補綴による《新版御所五郎蔵》。たっぷり3幕七場の長編です。
どうしても日本版オペラという感覚で鑑賞してしまうのですが、オーケストラにあたる鳴物、三味線、長唄にも聞きほれました。
そして中村壱太郎さんのたおやかな姿にはうっとり。有名な時鳥殺しの場面では客席の全員が悪役、百合の方を憎んだに違いありません。善良な人、美しい人が無残に殺されてしまう悲劇。片岡愛之助さんはじめ、役者さん達の迫真の演技も相まって、あまりにおどろおどろしい内容に圧倒されました。

正直、お祝いの舞台としては・・・?!という感じがしたのですが、前半の悲劇が激しく凄惨な場面が劇的であるほど、後半のハッピーエンドに至る振幅とドラマに繋がる、ということで選ばれた演目だったのかもしれません。
偶然の出来事や出会いによって大きく変わってしまう人生。人間が持っている強欲、愚かさ、嫉妬、傲慢、残虐性、群衆の無責任さは、現代にも通じており、それらが舞台にあぶりだされました。

後半は前半の悲劇から解放されるように、打って変わってエンターテイメント!藤間勘十郎さん脚本・振付の《玉藻前立飛錦栄》。お馴染みの高尾山薬王院を舞台に鐘供養の場面です。中村壱太郎さんが九変化。白拍子から狐まで、見事な踊りに魅せられました。一瞬で衣装を変え、演じ分ける壱太郎さん、すごい。演奏も、いくつものテーマや曲想を弾き分ける世界。かくありたい・・・と憧れた次第です。
「立飛」ということで?!最後は空を飛び美しく天に帰る。ラストシーン、宙乗りの瞬間に舞う金色の花吹雪がいつまでも瞼に残った一日でした。

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