岩波新書から11月末に出版された「ベートーヴェン《第九》の世界」。著者はヨーロッパ文化史研究家の小宮正安先生。
秋田行きの飛行機で読み始め、楽屋での待ち時間でも夢中で拝読いたしました。
「何読んでるの? あ!小宮先生の本!!」と主催の秋田・モォツァルト広場代表の加藤さん。
「知らなかった。。。」と翌朝すぐに本屋さんでゲットされた素早い行動。
「ラッキーだった。在庫がたった1冊しか残っていなかった!」のだそうです。
加藤さんは、20年程前に小宮先生の「ケッヘルについて」のご講演を2日連続でかぶりつきで聴講。それ以来の大ファンだそうです。そのご講演の時には「素晴らしいピアノ演奏もご披露くださって感動した!!」と昨日のことのように話してくださいました。小宮先生は、現在、横浜国立大学教授でいらっしゃいますが、前の職場は、秋田大学。秋田に大ファンがおられるのも当然と言えば当然のこと。
と前置きが長くなってしまいましたが、
とにかく「第九」を歌う方、「第九」を聞く方、ベートーヴェンを愛する方必読の1冊です。
2024年は「第九」初演から200年という節目の年。さらには東京音楽学校(現東京藝大)奏楽堂での日本初演から100年。以来、日本の風物詩《第九》は、日本人で知らない人がいないほどの超有名曲となり、日本の声楽家のほとんどが暗譜で歌えるほどの浸透ぶり。毎年暮れになると、同僚、友人が必ず立つ「第九」の舞台。
よーく知っている曲と誰もが感じている曲なのですが、この本で「え!そうだったの?!」の連続でした。
シラーの「歓喜に寄す」に魅せられた当時の人々、「第九」誕生への道、初演の経緯、・・・。ベートーヴェンの生活や思いが当時の社会情勢の中で鮮やかに描かれ、綿密な実証により虚実が見直され、「人間」ベートーヴェン像が《第九》の音楽とともに浮かび上がってきます。
200年たってなお色褪せない「第九」。激動の時代を生きたベートーヴェンの「第九」の魅力、そして現代における「第九」上演の意味をもう一度見つめ直す機会となりました。
コメント