安永徹・市野あゆみ デュオ特別公開レッスン

国立音大講堂小ホールで行われた、安永徹、市野あゆみ両先生による公開レッスンを拝見する機会をいただきました。
お二人は、今旭川にお住まいとのこと。
こういう質の高い公開レッスンを受けることができる国立音大の学生は、本当に恵まれていると思いました。この公開レッスンの実現に尽力されたのは、ベルリンにいらしたときからお二人にご縁のある大関先生です。

日本の授業システムの時間枠からははみ出るくらいの情熱で、時間は延長につぐ延長。
初日の今日は、まず、先生お二人は、客席に行かれ、
「音楽会のつもりで弾いてみて」
と学生に指示。
全楽章を通した弾かせたあと、細かいレッスンに入ります。その通した段階ですでに時間を押していたりして・・・・
こういう腰を落ち着けてじっくり・・・という姿勢から、ベートーヴェンやブラームスの深い演奏につながっていくものだと思いました。
ほかの授業とかぶっているせいで聞けない学生も多く、それがちょっと残念でした。
曲は、お二人の十八番、ブラームスの1番、3番、ベートーヴェンの7番です。3日に分けて行われ、10時から6時半までの集中講義のようなスケジュール。

理論的に詰めていかれる市野先生の指示と、奥様とは対照的に、感覚的な表現でいくつかの選択肢を与えながら優しく語りかける安永先生。
お二人のアンサンブルの原点を垣間見せていただく時間でした。
学生の音が客席に届かない・・・・、その原因はどこだろう、とご自分でその学生の楽器を持って弾いたり、真剣にひとりひとりの学生に向き合う安永先生の温かい姿が印象的でした。

先生が弾かれると、同じヴァイオリンが急に生気を帯び、豊かな音色で鳴り出し、会場の空気を変えてしまうのは驚きです。
言葉より音が多くを語っている、そんなレッスンでした。

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