DIC川村記念美術館

先日、福島県人会でお隣に座らせていただきました川村記念美術館の理事長さんが
「ぜひ、天気の良いときにいらっしゃい」
とお誘いくださり、今日は、佐倉までお伺いさせていただきました。
以前、モーツァルト記念年に佐倉でモーツァルト・シリーズのコンサートに数回出演させていただいたことがあり、コンサートの帰りにいつか・・・と思いつつ、結局まだ訪問が実現していなかった美術館です。

まず、ロケーションの素晴らしさ、美しさに感嘆!
美術館のまわりは、自然散策路にもなっていて、季節ごとにヤマユリ、ツツジ、大賀ハスなどが楽しめます。無料バスで来て散歩だけして帰る人もたくさんいらっしゃるとか・・・。
円2つのデザインは、美術館と来館者の方々の輪を表しているそうで、天井やステンドグラスにも使われています。その輪に入るような温かな気持ちで、名作の数々の部屋に足を踏み入れます。

モネの「睡蓮」、ルノワールの「水浴する女」、シャガールの「赤い太陽」、などの名作が次々に目に飛び込みます。
ゆったりとしたスペースの中、ほどよい光線の中で鑑賞させていただきました。美術の教科書としての依頼も多いそうで、教科書や美術書で見た覚えのある絵に再会できるときは、知人に会ったような感覚になります。
画集などで見ると小さいと思っていた絵が驚くほど大きな絵だったり、大きいと思ったものが実物は小さな絵だったり・・・というのも面白い経験です。

レンブラントの「広つば帽を被った男」の絵には力があり、惹きつけられました。この絵のモデルは、当時のアムステルダムの裕福な商人だそうですが、瞳は生きているようで、襟飾りもまるで本物の輝き。ずっと絵画の中で生き続けているのでは?!と思わせるリアリティーでした。
この奥さんをモデルにした絵というのも残っており、アメリカの美術館にあるそうです。以前、その絵を借りてきて企画展で並べて展示されたことがあるそうです。今は別居中ですが、別々の場所で生きていて企画展などのときに会える、というまるで彦星織姫様のような一対のカップルです。

20世紀美術のコレクションがまた充実しており、作品のために増築された、といういきさつのマーク・ロスコの壁画の部屋では、静かな瞑想的な空気が漂い、そこに厳かなチェロの無伴奏の音が聞こえてくるような気がしました。
ロスコは、もともとレストランの壁画として注文を受けたそうですが、自分の作品は、ざわめきの中ではなく、静かな空間にこそふさわしい!とレストランとの契約を破棄。しかもその7枚の絵を一つの空間に入れてほしい、という要望に応えてつくられた広い部屋。それぞれの絵が互いに呼応し、ハーモニーとして聞こえてくる。そんな感覚にとらわれました。

フランク・ステラの大型作品は、クレーンで吊り上げて展示されたものもあるようなスケール。年代ごとに同じ作者とは思えないような作風の変化があり、それを一堂に鑑賞できる恵まれたスペースは、この美術館ならではでしょう。

おしどりもいる大きな池の前にはお茶室があり、和菓子とお抹茶を横山大観の紫陽花と水すましの絵の前で頂戴いたしました。

初夏の一日、非日常の至福の4時間を過ごさせていただきました。

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お世話になりました奥村理事長様、早川課長さま、学芸員の赤松さん、素晴らしい時間をありがとうございました!

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